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インプラントのネジが歯茎から見える?原因と対処法

インプラントのネジが歯茎から見える?原因と対処法

インプラントのネジが歯茎から見えるってどういう状態?

インプラントの治療後に、金属のネジ部分が見えることがあります。その状態と原因をまず知っておきましょう。

インプラントは、人工歯根(フィクスチャー)を骨に埋め込み、その上にアバットメントと被せ物を装着する治療です。しかし、以下のような原因で歯茎からネジ部分が見えてしまうことがあります。

  1. 歯茎の退縮:加齢や炎症によって歯茎が痩せて下がると、内部構造が露出することがあります。
  2. 骨の吸収:顎の骨が徐々に痩せることで、インプラント周囲が露出します。
  3. 被せ物の設計不良:被せ物の角度や高さが不自然で、歯茎とのバランスが崩れてしまうケース。

こうした状態は見た目の問題だけでなく、健康にも影響を及ぼす可能性があります。

インプラントの金属が歯茎から見える原因とは?

「なんで金属が見えちゃうの?」という疑問に、3つの視点からやさしく解説します。

インプラントの治療後に「なんか黒いのが見える」「銀色の線が見えてきた気がする…」と感じることがあります。これは、歯茎の変化や治療の設計によって起こることがあります。

以下のような原因が考えられます。

1. 歯茎がやせてしまった

歯茎が少しずつ下がってきて、今まで隠れていた金属が見えてきてしまうことがあります。

  • 歳を重ねると歯茎が自然に下がることがある
  • 歯磨きの力が強すぎると歯茎が傷ついて下がる
  • 歯茎が炎症を起こして後退することもある

2. 顎の骨が少し減ってしまった

インプラントを支えている骨が少しずつやせて、インプラントの一部が見えてくることもあります。

  • 噛む力が強すぎると骨に負担がかかる
  • タバコを吸っていると骨の回復力が弱くなる
  • 元々の骨の厚みが足りなかった場合も起こることがある

3. 最初の設計に工夫が足りなかった

被せ物やパーツの選び方・形によっても、金属が見えやすくなることがあります。

  • 見た目よりも強度を優先して金属の土台を使った
  • 歯茎との境目が浅くて、金属が透けて見えることがある
  • 歯の形や色が歯茎に合っていなかった

4. 治療の途中の段階で金属のパーツが見える場合がある

最終の上部構造が装着されるまでの期間に、ヒーリングアバットメントという金属で出来たパーツが歯茎の上に見えてしまうことがありますが、この場合は問題ありません。

見た目の悩みにはちゃんと原因がある!

金属が見えてしまうのには、いくつかの理由があります。そしてその多くは、一時的なもので問題がなかったり、きちんと治療や調整をすれば対処できるものです。不安になりすぎずに、まずは歯医者さんに相談してみてくださいね。

金属が見える位置によってどう違う?前歯と奥歯の違い

前歯と奥歯では「見た目」や「使い方」が違うため、金属が見えたときの気になり方や治療の優先順位も変わってきます。

インプラントの金属が見えている…といっても、「どこに見えているのか?」によって、その深刻さや治療方針はちょっと変わってきます。ここでは、前歯と奥歯の違いを分かりやすく解説します。

前歯:見た目の悩みが大きい場所

  • 人から見えやすい → 笑ったり話したりするとすぐ見える部分です。
  • 審美性が最重要 → 色や形だけでなく、「歯茎とのなじみ方」も非常に大切。
  • 金属が見えると目立つ → わずかな金属の線でも、かなり気になってしまう方が多いです。

対処法としては…

  • 金属を使わないジルコニア製アバットメントへの変更
  • 歯茎の再生治療(歯周形成手術など)
  • 審美補綴(見た目重視の被せ物)の再設計

見た目の満足度を高めるためには、素材選びや設計に特に配慮が必要です。

奥歯:見た目よりも機能重視の場所

  • 基本的に見えにくい → 口を大きく開けない限り、あまり見られることはありません。
  • 噛む力が強い → 素材の「強度」や「耐久性」が重視されます。
  • 金属が多少見えても問題にならないことが多い

対処法としては…

  • 機能性を優先した金属製アバットメントのままにする場合も
  • 美しさよりも「しっかり噛める」ことを優先する判断もあります

つまり、「見えてるけど、奥歯なら大丈夫」となることも少なくありません。

部位によって“正解”が違う!

前歯と奥歯では、治療に求められるゴールが違います。

比較項目 前歯 奥歯
見た目の優先度 高い 低め
金属露出の気になり度 非常に気になる あまり気にならない場合も
治療で重視する点 審美性(自然な見た目) 機能性(しっかり噛める)

インプラント治療で気になることが出てきたら、「どの場所にあるのか」「自分が何を優先したいのか」をしっかり伝えることが大切です。患者さん一人ひとりの価値観に合った選択が、いちばんの“正解”になります。

放置するとどうなる?見た目と健康への影響

ネジが見えたままの状態を放置すると、審美面だけでなく健康リスクもあります。

以下のような問題が起こる可能性があります。

見た目の悪化
前歯など目立つ場所だと、金属が見えて気になる人が多いです。

細菌感染のリスク
ネジ部分は歯垢が付きやすく、周囲炎などのリスクが高まります。

インプラントの寿命短縮
周囲の歯茎や骨がさらに痩せてしまうと、インプラント自体の脱落にもつながる可能性があります。

このようなトラブルは、早めに対処することで防ぐことができます。ただし、問題のない場合もありますので、担当医にご確認ください。

インプラントのネジが見えてしまったときの対処法

ネジが見えてきた場合の対処法には、症状の程度に応じて選択肢があります。

被せ物の再設計や交換
見た目に配慮した設計に変更することで露出をカバーします。

歯茎の再生治療
歯周形成手術などで歯茎のボリュームを回復させる方法。

骨造成(GBR)
骨の吸収が原因の場合は、再度骨を補う手術が必要になることもあります。

これらの処置を組み合わせることで、審美面と健康の両方の回復を目指すことが可能です。

症状や原因別の治療の選択肢とは?

「どうすればいいの?」という疑問に対して、状態ごとの選択肢を整理しました。

状態 主な原因 治療の選択肢
歯茎の退縮 加齢・炎症・喫煙 歯茎の再生治療(歯周形成手術など)
被せ物の設計不良 初期設計ミス 被せ物の再製作・再設計
骨吸収 噛み合わせの負担・加齢 骨造成術(GBR)による骨の補強
一時的に金属が見えている ヒーリングアバットメントが仮の状態で装着されている 最終的な被せ物を装着すれば見えなくなることが多い

一つの選択肢だけでなく、複数を組み合わせることが必要な場合もあります。担当医との丁寧なカウンセリングを受けましょう。

再発を防ぐために気をつけたいこと

同じことを繰り返さないためには、日常のケアや定期的な確認がカギです。

歯磨きを丁寧に行う
歯垢をしっかり除去し、炎症を防ぎましょう。

禁煙を検討する
血流が回復し、歯茎の状態も良くなります。

定期的な健診を受ける
小さな変化を早期に発見することで、大きなトラブルを防げます。

こうした取り組みは、インプラントだけでなくお口全体の健康にもつながります。

まとめ

不安なときはすぐ相談を!インプラントと上手に付き合うために

ネジの露出は放置せず、まずは歯科医院に相談することが大切です。

インプラントのネジが見えてきたとき、「どうしよう…」と不安になりますよね。でも大丈夫。適切な治療と日々のケアで、見た目も機能もちゃんと回復できます。

焦らずに、でも放置せずに。気になることがあったら、早めに信頼できる歯科医院で診てもらいましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院
院長 永井 伸人

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本顎咬合学会。

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クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック