
歯が欠けたけどすぐに歯医者に行けないという方もおられるでしょう。なるべく早く受診するのがベストですが、そうもいかない場合、ご自身で応急処置を行う必要があります。
歯が欠ける原因
歯が欠ける原因としては、外傷や虫歯、歯ぎしり、加齢などがあります。順を追って挙げていきます。
外傷
転倒したり、事故に遭ったり、コンタクトスポーツなどで顔や口を強打した時に起こります。また、硬い氷や骨、飴などを噛んだときの強い衝撃も考えられます。
虫歯の進行
虫歯が進んでいて硬いエナメル質ではなく、内部にある象牙質まで穴が開いていしまうと、わずかに噛む力で歯が欠けやすくなります。
歯ぎしり・食いしばり
就寝中の歯ぎしりや無意識下の食いしばりによる歯へのダメージが蓄積し、歯へのヒビや欠けの原因になります。
加齢や歯の摩耗
年齢を重ね長年使用していると、歯がすり減り、薄くもろくなります。それにより噛み合わせで欠けやすくなります。
治療済みの歯の劣化
詰め物や被せ物に隙間があると、その下で二次虫歯が再発したり、神経を取った歯が脆くなっている場合などに起こります。
どの原因でも、早期発見と早めの対処が歯の寿命を延ばすカギになります。
Qストレスで歯が欠けることはある?+
A直接歯を欠けさせる原因として、ストレスは考えにくいです。ただし、ストレス過多な状態では神経過敏になり、歯ぎしりが起こりやすい環境です。大きな負担がかかり、歯が欠けてしまう状態を引き起こします。また、ストレスは免疫力が低下する原因にもなるため、虫歯が悪化して歯がもろくなり欠けることが考えられます。
歯が欠けたけどすぐに歯医者に行けない時の処置
欠けた部分がどこなのか、鏡を使って正確に確認をし、清潔な状態にしなければなりません。
1. 口の中を確認
欠けた歯の破片が口腔内に残っていないか確認しましょう。出血がある場合は、清潔なガーゼで圧迫して止血します。
欠けた破片がある
ゴミ箱に捨てないでしっかり保管します。欠けた部分の保管状態や、お口の中の状態によっては、歯科医院で再接着できることがあります。破片は水で優しく洗い、乾燥させずに保存しましょう。できれば牛乳や生理食塩水、ネット販売している歯の保存液に浸すと、歯の周りの歯根膜を乾燥させずに再建できる可能性があります。
2. 痛み・しみる症状の緩和
痛みやしみるなどの症状があるならば、冷たいものや熱いものを避けるのが賢明です。エナメル質が削れてしまい、象牙質や神経が露出している可能性があるためです。市販の痛み止めであるロキソニンやイブプロフェンなどの用法や用量を守り、服用しましょう。ネット販売している歯の応急処置(テンパリン)を使用して、欠けた部分を一時的に覆い、しみや痛みの軽減につとめましょう。
3. 食事の際の注意点
欠けた歯では咬まないように意識しましょう。そして、しっかり噛まなければならない繊維であったり、固い食べ物は避けてください。柔らかいおかゆ、スープ、豆腐など中心の食事に切り替えるようにして、食後は丁寧にうがいをし、歯磨きをしましょう。
4. やってはいけないこと
欠けた部分を指や舌で気にして触りすぎてはいけません。また、歯の破片を自分で戻そうと瞬間接着剤を使って接着するのは絶対にやめておきましょう。接着剤の成分は口腔内で有害であり、歯科治療の妨げになります。
5. なるべく早めに歯科を受診
歯が欠けてから数日以内の受診が理想です。応急処置で症状が緩和していても、患者さん自身が気付いていないだけで更にひび割れしていたり、神経へのダメージがある可能性があります。
歯科医院を予約する際のポイント
歯が欠けたこと、痛みの有無、歯の破片の保管状況などを伝えて予約をするとスムーズです。ご自身でできる処置はあくまで一時的な対応です。なるべく早く専門家である歯科医師の診断を受け、適切な治療を受けることが、将来の歯の寿命を守るカギとなります。
歯が欠けた時の治療法
歯が欠けたときの治療法は、欠けた程度や位置、痛みの有無、神経(歯髄)の状態などに応じて異なります。
欠けた部分が小さい場合
歯のエナメル質のみが欠けた場合は、コンポジットレジン(CR)修復が最適となります。欠けた部分に歯と同じ色の樹脂(レジン)を盛りつけ、形を整えて光で固めます。
デメリット:耐久性がやや劣り、着色や欠け直しが起こることもある。
歯の内部まで欠けている場合
歯のエナメル質のみではなく象牙質まで到達している大きく欠けた場合、レジンよりも詰め物(インレー)をする治療法が最適となります。セラミックや金属のインレーを用いて欠けた部分を補い、神経に近い場合は、神経保護の処置(覆髄処置)を同時に行うこともある。
デメリット:金属は審美性でやや劣り、セラミックは強く噛み合わせると欠ける可能性がある。
神経が露出・損傷している場合
神経が露出し、痛みの症状が出ている場合、根管治療(神経の治療)+土台+被せ物(クラウン)という治療法が最適となります。神経を除去(抜髄)して歯根の中を消毒し、ファイバーや金属の土台を入れ、クラウンをかぶせます。
デメリット:根管治療は治療期間がかかるため、すぐに歯を元通りにする短期間の治療はできない。
クラウンの材料
- 保険適用:治療費用が安い銀歯、硬質レジン
- 自費診療:審美性が高いセラミック、ジルコニアなど
歯の根まで割れたり折れた場合
歯の根まで割れたり折れていると、抜歯後に義歯治療となります。義歯治療の種類として、ブリッジ・ 入れ歯 ・ インプラントのいずれかで欠損部分を補わなければなりません。
治療法 | 特徴 |
---|---|
ブリッジ | 両隣の歯を削って橋渡しをして固定。支台歯のダメージは大きくなるが保険適用で行うことが可能。 |
部分入れ歯 | 取り外し可能な人工歯及び歯肉を装着。審美性の問題はあるが保険適用で行うことも可能。 |
インプラント | 人工歯根を顎骨に埋め込み自立させる。審美性や機能性は高いが、自費診療に該当するため高額。 |
乳歯が欠けた場合
基本的に歯髄に影響がなければ、経過観察またはレジンで補います。永久歯に影響するようなら早めの治療を行わなければなりません。
注意点
欠けた歯を放置すると、虫歯・歯髄炎・破折の悪化などのリスクがあります。欠けた破片が残っている場合は、持参し、歯科医師が問題ないとすれば再接着できることがあります。ご自身の症状がどの程度か不明な場合は、すぐに歯科を受診し、正確な診断を受けましょう。早期の対処が、治療を軽くして歯を長持ちさせるポイントです。
まとめ
歯が少し欠けただけの場合でも、大丈夫だろうと自己判断して放置してしまう方が少なくありません。しかし、欠けた部分から虫歯が進行するリスクもあるため、できるだけ早く歯医者で治療を受けることが大切です。
歯が欠ける原因には虫歯などの口腔トラブルも関係していることがあり、日頃から丁寧な歯磨きやケアを心がけ、口腔内を清潔に保つことが重要です。
加えて、3ヶ月に一度の定期検診を活用すれば、お口の中の小さな異変にも早く気付くことができ、健康な歯を長く保つことにつながります。