マウスピース矯正のデメリットとは?後悔しないために知っておきたい注意点

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

マウスピース矯正のデメリットとは?

マウスピース矯正には、装置が目立ちにくい、食事や歯磨きの際に取り外せるといったメリットがあります。一方で、装着時間の自己管理が必要、症例によっては適応が難しい、紛失・破損の可能性があるなど、事前に知っておきたいデメリットもあります。

大切なのは、「デメリットがあるから避ける」のではなく、自分の歯並びや生活スタイルにとって、そのデメリットがどのくらい影響するのかを考えることです。

この記事を読むとわかること

  1. マウスピース矯正の主なデメリット
  2. ワイヤー矯正と比べたときの違い
  3. マウスピース矯正が負担になりやすい人
  4. 治療中に注意したいトラブル
  5. 費用や治療期間に関する注意点
  6. 後悔しないために治療前に確認したいこと

 

マウスピース矯正にはどんなデメリットがある?

マウスピース矯正にはどんなデメリットがある?の図解

マウスピース矯正の代表的なデメリットは、装着時間を自分で管理しなければならないこと、歯並びによっては治療が難しいこと、着脱の手間がかかることなどです。

透明で取り外せるという特徴は大きなメリットですが、見方を変えると「治療を患者さん自身が管理する場面が多い矯正方法」ともいえます。

マウスピース矯正の最大の特徴である「取り外せること」は、メリットであると同時に自己管理が必要になる理由でもあります。

マウスピース矯正の主なデメリット

まずは、治療を始める前に知っておきたい代表的なデメリットを整理してみましょう。どれも必ず起こるわけではありませんが、自分の生活に当てはめて考えておくことが大切です。

デメリット 具体的な内容
装着時間の管理が必要 決められた時間を守れないと、予定通り歯が動かないことがあります。
適応できない場合がある 歯の移動量や骨格の状態によっては、ほかの治療法が適することがあります。
飲食時に着脱が必要 食事のたびにマウスピースを外し、再装着する必要があります。
紛失・破損の可能性がある 外出先で外した際に紛失したり、取り扱いによって破損したりすることがあります。
違和感や痛みが出ることがある 交換直後などに締めつけ感や歯の痛みを感じる場合があります。

こうして見ると、マウスピース矯正のデメリットには「治療方法そのものの問題」と「生活の中で管理する手間」の両方があります。そのため、歯並びだけでなく、日々どのように装置を使えるかまで含めて治療方法を選ぶことが重要です。

装着時間を守れないと歯が動きにくくなる?

マウスピース矯正では、歯科医師から指示された時間、マウスピースを装着することが重要です。

ワイヤー矯正は装置を自分で外せませんが、マウスピース矯正は自由に取り外せます。そのため、

  • 食後に装着するのを忘れる
  • 外食が多く、外している時間が長くなる
  • 就寝時だけ装着する
  • 面倒になって装着時間が短くなる

といったことが続くと、治療計画と実際の歯の動きに差が生じることがあります。

歯が予定通り動かなければ、次のマウスピースが入りにくくなったり、治療計画を修正したりする必要が出ることもあります。

「取り外せる矯正」は自由度が高い一方、装着するかどうかも患者さん自身に委ねられる治療です。

食事や外出のたびにマウスピースを外すのは大変?

マウスピース矯正では、基本的に食事の際には装置を外します。自宅ではそれほど負担に感じなくても、外食、旅行、仕事中の昼食などでは少し面倒に感じることがあります。

特に、

  1. 仕事柄、食事時間が不規則
  2. 間食することが多い
  3. 会食が多い
  4. 外出時間が長い

という方は、着脱回数が多くなりやすいでしょう。

また、食後には歯を清潔にしてから再装着することが望ましいため、歯ブラシやマウスピースケースを持ち歩く習慣も必要になります。

マウスピース矯正は「食べられない治療」ではありませんが、食べるたびに装置を管理する必要がある治療です。

生活スタイルによる負担の違い

同じマウスピース矯正でも、生活スタイルによって負担の感じ方は変わります。治療前には「装着できるか」だけでなく、「毎日の生活の中で続けられるか」を考えてみましょう。

生活スタイル 考えられる負担
外食・会食が多い 着脱や歯磨きの機会が増えます。
間食が多い 外している時間が長くなりやすくなります。
デスクワーク中心 比較的装着時間を管理しやすい傾向があります。
旅行・出張が多い 紛失防止や交換スケジュールの管理が必要です。

「目立ちにくいから仕事中にも使いやすい」というメリットがある一方、食事や移動が多い仕事では管理の手間が増えることがあります。つまり、マウスピース矯正との相性は、歯並びだけでは決まりません。生活習慣も重要な判断材料です。

マウスピース矯正では治せない歯並びもある?

マウスピース矯正は幅広い不正咬合に使用されていますが、すべてのケースを同じように治療できるわけではありません。

歯の移動量が大きい場合や、骨格的な問題が強い場合などでは、ワイヤー矯正や外科的な治療を含めた別の方法が適していることがあります。

また、一見すると似た歯並びでも、

  1. 歯を動かす方向
  2. 歯根の位置
  3. 顎の骨の状態
  4. 噛み合わせ
  5. 抜歯の必要性

などによって治療の難易度は変わります。

「マウスピース矯正ができるか」は、見た目の歯並びだけでは判断できません。

日本矯正歯科学会「アライナー型矯正装置による治療指針」では、アライナー型矯正装置による治療について、適切な診断や治療計画、継続的な管理の重要性が示されています。

そのため、「マウスピースだけで治したい」と治療方法を先に決めるより、まず自分の不正咬合にどの治療法が適しているか診断してもらうことが大切です。

マウスピースを紛失・破損するとどうなる?

マウスピースは取り外せるため、紛失や破損にも注意が必要です。特に多いのが、外食時などにティッシュへ包んで置き、そのまま捨ててしまうケースです。

また、

  1. ケースに入れずバッグへ入れる
  2. 高温になる場所に置く
  3. 無理な力で着脱する
  4. ペットの届く場所に置く

といった扱い方でも、変形や破損につながることがあります。

紛失・破損した場合の対応は治療段階によって異なります。前のマウスピースを使用する場合もあれば、次の段階へ進む場合、再作製が必要になる場合もあります。

自己判断で進めず、歯科医院へ連絡しましょう。

外したマウスピースは「ティッシュではなくケースへ」を習慣にするだけでも紛失リスクを減らせます。

痛みや違和感はマウスピース矯正にもある?

「マウスピース矯正なら痛くない」と思われることがありますが、歯を動かす以上、まったく痛みがないとは限りません。特に新しいマウスピースへ交換した直後は、歯が押されるような感覚や締めつけ感が出ることがあります。

また、

  1. マウスピースの縁が粘膜に当たる
  2. アタッチメントが頬に触れる
  3. 着脱時に歯が痛む
  4. 一時的に噛みにくく感じる

といった違和感が生じる場合もあります。

多くの場合は徐々に慣れていきますが、強い痛みが続く場合や、マウスピースが明らかに合わない場合は歯科医院へ相談してください。

「マウスピース=無痛」ではありません。痛みの程度には個人差があり、交換直後に違和感が出ることがあります。

虫歯や歯周病になりやすくなることはある?

マウスピースは取り外して歯磨きできるため、固定式の矯正装置と比べて口腔ケアを行いやすいという利点があります。

しかし、歯に食べかすや糖分が残った状態でマウスピースを長時間装着すると、口の中の環境が悪化する可能性があります。

そのため、

  1. 食後はできる範囲で歯を清潔にする
  2. マウスピースも定期的に洗う
  3. 甘い飲み物を装着したまま飲み続けない
  4. 定期的に歯科医院で口の中を確認する

ことが大切です。

マウスピースそのものが虫歯をつくるというより、装置をつけたまま過ごす口の中を、どの程度清潔に保てるかが重要です。

マウスピースを清潔にするだけでなく、装着する「歯そのもの」を清潔に保つことが重要です。

ワイヤー矯正と比べると、どちらのデメリットが大きい?

マウスピース矯正とワイヤー矯正では、デメリットの種類が違います。

マウスピース矯正では自己管理の負担が大きくなる一方、ワイヤー矯正では装置が固定されていることによる見た目や清掃の難しさを感じる方がいます。

マウスピース矯正とワイヤー矯正の違い

どちらか一方がすべての面で優れているわけではありません。
何を負担に感じるかによって、向いている治療法は変わります。

比較項目 マウスピース矯正 ワイヤー矯正
見た目 比較的目立ちにくい 装置の種類によって目立つことがある
取り外し 自分で取り外せる 基本的に取り外せない
自己管理 装着時間の管理が重要 装置自体の装着管理は不要
歯磨き 装置を外して磨ける 装置周辺を丁寧に磨く必要がある
適応 症例によって難しい場合がある 幅広い歯の移動に対応しやすい

「目立ちたくないからマウスピース」「自分で管理するのが苦手だからワイヤー」という選び方もひとつの考え方です。ただし、最優先すべきなのは希望する治療法ではなく、その歯並びを適切に治療できる方法かどうかです。

マウスピース矯正が向かないのはどんな人?

歯並びの適応とは別に、生活習慣の面でマウスピース矯正が負担になりやすい方もいます。

たとえば、

  1. 装着時間を管理するのが苦手
  2. 物をよくなくす
  3. 間食する機会が非常に多い
  4. 毎日の着脱を面倒に感じそう
  5. 自己判断で治療を進めてしまいやすい

という場合です。

これは「性格的に治療できない」という意味ではありません。
重要なのは、治療を始めた後の自分の生活を具体的に想像できるかどうかです。

マウスピース矯正の向き・不向きは「歯並び」と「自己管理」の2方向から考えるとわかりやすくなります。

費用や治療期間が予定より増えることはある?

マウスピース矯正は、多くの場合、自由診療となるため歯科医院によって費用体系が異なります。また、当初の治療計画だけでは十分に歯が動かず、追加のマウスピースが必要になることもあります。

そのため、契約前には、

  • 基本料金
  • 診断料
  • 調整料
  • 追加マウスピースの費用
  • 保定装置の費用
  • 治療期間が延びた場合の費用

などを確認しておくと安心です。

治療前に確認しておきたい費用・期間

治療費は「最初に提示された金額」だけで比較しないことが重要です。治療終了までにどの費用が含まれているのかまで確認しましょう。

確認項目 確認しておきたい内容
基本治療費 マウスピース作製や治療管理がどこまで含まれるか
追加マウスピース 追加作製時に別料金が必要か
通院費用 調整料・管理料が別途必要か
保定装置 治療後のリテーナー費用が含まれるか
治療期間 予定期間と、延長する可能性について

価格だけで歯科医院を比較すると、治療途中で想定していなかった費用が発生する場合もあります。「総額はいくらか」「どこまで治療してもらえるのか」をセットで確認することが、費用面での後悔を防ぐポイントです。

マウスピース矯正のデメリットを減らすにはどうすればいい?

デメリットの多くは、治療前の確認と日々の管理によってある程度減らすことができます。

治療前には、次の点を確認しておくとよいでしょう。

  1. 自分の歯並びがマウスピース矯正に適しているか
  2. 抜歯が必要か
  3. どこまで歯並びや噛み合わせを改善する計画か
  4. 1日の装着時間
  5. 治療期間の目安
  6. 追加治療が必要になった場合の対応
  7. 治療費の総額
  8. ワイヤー矯正という選択肢もあるか

そして、説明を聞いたうえで疑問が残った場合は、そのまま治療を開始せず質問することも大切です。マウスピース矯正は装置だけで歯を治すものではありません。診断、治療計画、患者さんの協力、治療中のチェックがそろって初めて進んでいく治療です。

「マウスピースを作れば治療が終わる」のではなく、治療中の管理まで含めて矯正治療です。

日本矯正歯科学会では、マウスピース型矯正装置による治療について、適切な診察・検査・分析・診断や、治療経過の確認を行うことの重要性を示しています。

まとめ

マウスピース矯正のデメリットは「欠点」より「相性」で考えよう

マウスピース矯正には、

  1. 装着時間を守る必要がある
  2. 飲食のたびに着脱する手間がある
  3. 紛失や破損の可能性がある
  4. 症例によっては適応が難しい
  5. 痛みや違和感が生じる場合がある
  6. 追加治療によって期間が延びる場合がある

といったデメリットがあります。

ただし、これらがすべての患者さんに同じ重さで当てはまるわけではありません。

たとえば、毎日決まった生活をしていて装着時間を管理しやすい方にとっては、自己管理はそれほど大きなデメリットにならないかもしれません。

反対に、外食や間食が多く、マウスピースの着脱が難しい生活をしている方にとっては、思った以上に負担になる可能性があります。

だからこそ、治療法を選ぶときは「メリットが何個あるか」「デメリットが何個あるか」という単純な比較ではなく、その特徴が自分にとってメリットになるのか、デメリットになるのかを考えることが大切です。

マウスピース矯正を検討している場合は、まず歯並びや噛み合わせを診てもらい、メリットだけでなくデメリットやほかの治療方法についても説明を受けたうえで、自分に合った方法を選びましょう。

後悔しにくい矯正治療の第一歩は、「マウスピース矯正をするか」ではなく「自分にはどの治療方法が適しているか」を確認することです。

関連ページ:クローバー歯科あべの天王寺院のマウスピース治療(インビザライン)