歯と口のトラブル

歯ぎしりで歯が擦り減った場合の治療法とは?原因から対策まで解説

歯ぎしりで歯が擦り減った場合の治療法とは?

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

歯ぎしりで歯が擦り減った場合どうやって治療する?

歯ぎしりによって歯が擦り減った場合には、被せ物や詰め物による修復治療、マウスピースによる保護、場合によっては矯正治療や噛み合わせの調整が必要になることがあります。放置すると歯の寿命を縮める原因になるため、早めの歯科受診と適切な治療が大切です。

この記事はこんな方に向いています

  • 歯ぎしりで歯が削れて短くなってきたと感じている方
  • 朝起きた時に顎が疲れている、歯がしみるなどの症状がある方
  • 歯ぎしりによる歯の擦り減りをどう治療するのか知りたい方
  • 今後の歯ぎしり対策や予防法を学びたい方

この記事を読むとわかること

  1. 歯ぎしりによって歯が擦り減る原因とリスク
  2. 歯科で行われる治療法の種類と特徴
  3. 自宅でできる歯ぎしり対策や生活習慣の改善ポイント
  4. 将来の歯の健康を守るための予防の考え方

 

歯ぎしりで歯が擦り減った場合、治療は必要ですか?

歯ぎしりで歯が擦り減った場合、放置してよいものではありません。歯の表面が削れて象牙質が露出すると、知覚過敏や虫歯、歯の破折のリスクが高まります。治療を行わずに進行すると噛み合わせが乱れ、顎関節症につながることもあるため、早めの歯科受診が必要です。

擦り減った歯は放置せず、歯科で適切な治療を受けることが重要です。

なぜ歯ぎしりを放置すると歯が擦り減ってしまうの?

模型

歯ぎしりは睡眠中や無意識に行われるため、自分では気づきにくい習慣です。強い力で上下の歯をこすり合わせることで、歯の表面のエナメル質が摩耗し、やがて象牙質が露出してしまいます。さらに歯周組織や顎関節にも負担をかけ、歯の寿命を短くするリスクがあります。

歯ぎしりは歯や顎に大きな負担をかけ、歯の寿命を縮める原因になります。

  1. 歯の表面が削れて知覚過敏を起こす
  2. 歯が割れる・欠けるリスクが高まる
  3. 詰め物や被せ物が壊れる可能性がある
  4. 噛み合わせのズレや顎関節症の原因になる

歯ぎしりは単なる習慣ではなく、歯や口腔全体の健康を脅かす要因です。摩耗が進行すると見た目の問題だけでなく、噛む力のバランスも崩れ、長期的には全身の健康にも影響するため注意が必要です。

歯ぎしりで擦り減った歯にはどんな治療法がありますか?

歯ぎしりで擦り減った歯の治療法は、歯の摩耗の程度や神経への影響、審美面の希望によって異なります。軽度であればレジン修復で対応できることもありますが、中等度以上では被せ物が必要になることが多く、神経に達している場合には根管治療を伴うケースもあります。

さらに、再び擦り減らないようにマウスピースを使った保護や、噛み合わせの調整を組み合わせて行うのが一般的です。

摩耗の程度に応じて、レジン修復・被せ物・根管治療・噛み合わせ調整などが行われます。

主な治療法とその特徴

レジン修復(コンポジットレジン)

  • 軽度の摩耗に適応
  • 歯の一部を樹脂で補って形態を回復
  • 短時間で治療でき、費用も比較的安価
  • ただし強度は低く、再度欠けやすい

被せ物(セラミックやジルコニアなど)

  • 中等度以上の摩耗に適応
  • 歯を全体的に覆うことで強度と見た目を回復
  • 長期的に安定しやすく、審美性も高い
  • 歯を削る量が増えるため、歯の寿命に影響する可能性あり

根管治療+被せ物

  • 摩耗が進み神経が炎症や壊死している場合に必要
  • 神経を除去して歯の内部を消毒・充填
  • その上に被せ物をして咬合機能を回復

噛み合わせ調整

  • 咬合のバランスが崩れている場合に実施
  • 特定の歯に過度な力がかからないよう微調整する
  • 単独ではなく修復治療と併せて行うことが多い

マウスピース(ナイトガード)

  • 治療というより予防的役割
  • 夜間の歯ぎしりによる摩耗を防ぐ
  • 既存の治療を守り、再発防止につながる

治療法ごとの比較表

治療法 適応ケース メリット デメリット
レジン修復 軽度の擦り減り 短時間・低コスト・歯を削る量が少ない 強度が弱く、再度欠けやすい
被せ物 中等度〜重度の擦り減り 強度・耐久性・審美性に優れる 歯を大きく削る必要がある
根管治療+被せ物 神経まで影響が及んでいる場合 痛みを取り除き歯を保存できる 治療期間が長くなる
噛み合わせ調整 咬合バランスが崩れている場合 負担を分散し再摩耗を予防 微調整では限界がある
マウスピース 就寝時の歯ぎしり対策 歯や被せ物を保護できる 毎晩装着が必要、慣れるまで違和感

歯ぎしりによる摩耗の治療は「削れてしまった部分をどう補うか」と「これ以上削れないようにどう守るか」の両立が大切です。軽度ならレジンで対応できますが、進行すると被せ物が必要となり、場合によっては根管治療も加わります。そして必ずマウスピースや生活習慣の改善を組み合わせ、再発防止を行うことが、長期的に歯を守るカギとなります。

マウスピースは歯ぎしり治療にどのように役立つの?

歯ぎしりの治療においてマウスピースは最も基本的な方法です。就寝時に装着することで、歯同士の直接的な摩耗を防ぎ、力を分散させる効果があります。歯の擦り減り防止だけでなく、顎関節への負担軽減にもつながります。

マウスピースは歯の摩耗防止と顎関節の保護に有効です。

歯ぎしりで歯が擦り減ったとき、自宅でできる対策はありますか?

自宅でできる対策は、睡眠環境の改善やストレスケア、日中の食いしばりを意識して緩める習慣を持つことです。これらは直接的な治療ではありませんが、歯ぎしりを悪化させないために重要です。

生活習慣を整えることで歯ぎしりの悪化を防ぐことができます。

自宅でできる対策

  1. 睡眠の質を改善する(規則正しい生活、寝具の工夫)
  2. ストレスを溜め込まない工夫(軽い運動やリラックス習慣)
  3. 日中の食いしばりに気づいたら意識的に緩める
  4. カフェインやアルコールの摂取を控える

歯ぎしりの背景にはストレスや生活習慣の乱れが関わることが多いため、日常生活の改善も大切です。歯科治療と併せて実践することで、再発予防につながります。

歯ぎしりの治療法を選ぶ際に注意すべきポイントは?

治療法を選ぶ際は、摩耗の程度だけでなく、噛み合わせや生活習慣、将来的な歯の健康を考慮する必要があります。また、一時的な処置で終わらせず、長期的に歯を守る視点が大切です。

治療は長期的な歯の健康を考えて選ぶことが重要です。

まとめ

歯ぎしりで歯が擦り減ったときの治療法と予防の大切さ

歯ぎしりによる歯の擦り減りは、放置すると大きなトラブルを引き起こすリスクがあります。歯科での治療によって機能や見た目を回復させ、マウスピースや生活習慣の改善で再発を防ぐことが可能です。歯は一度削れると元には戻らないため、早めの対応が将来の健康を守ります。

治療と予防を組み合わせることが歯の健康を守る鍵です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院
院長 永井 伸人

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本顎咬合学会。

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クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック