歯と口のトラブル

顎関節症とは?治療や矯正はどうすれば良い?

顎関節症とは?治療や矯正はどうすれば良い?

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

顎関節症とは、コキッと頬のそばにある関節が鳴るだけではありません。正しくない顎関節の動きを伴うことによって、日常の生活に生じる様々な体の不調の原因になり得る疾患です。

顎関節症とは?

顎関節症の症状

顎関節症の症状は以下のようなものです。

  • 耳の前・咀嚼筋の痛み
  • 繰り返す頭痛
  • 顎関節の音が鳴る(クリック音)
  • 口が開かない(開口障害)

他にも、肩こり、首のこわばり、耳の詰まり、めまいを覚える方もおられます。

顎関節症の原因は?

歯ぎしり・食いしばり

顎関節症の原因においては、様々な要因が考えられます。一般的には上の歯と下の歯の咬合の悪さやズレが生じ、顎関節が不安定になり、負担がかかるケースが多く見られます。そして、日常的な習慣や癖、自分自身の心の状態のみではなく、転倒で顔面を打ち付けたなど不慮の事故による外傷で、顎関節症を誘発するということも少なくありません。

生活習慣におけるクセ

  • 上下の歯で歯ぎしり・噛みしめ(ブラキシズム)
  • 頬の内側・唇を噛む・舌で前歯を押す
  • 頬杖をつく・うつぶせ寝をする・姿勢が悪い
  • 左右どちらかにあごをずらして食べ物を咬む

精神的な原因

  • ストレスによる筋肉の緊張
  • 交感神経の働きによる睡眠障害

身体的な原因や外傷の原因

  • 悪い歯並び(不正咬合)
  • 事故による外傷

顎関節症になりやすい年代や性別はある?

顎関節や顎を移動させる際に、筋肉の痛みを訴え来院される方の特徴を挙げます。おおよそ10代後半から20代前半の若い方や、40代から50代の方が多いです。いずれも男性より女性がなりやすいですが、稀に乳児で顎関節に異常があるケースもあります。

若い方の場合

  • 学校や友人関係など、環境が大きく変化するストレスが影響して発症した

年齢を重ねた方の場合

  • ホルモンバランスの変化によるストレスが影響して発症した
  • 家庭や職場などがストレスの高い環境であるために発症した
  • 子育てや介護によるストレスがきっかけになる場合もある
  • 老化で歯面が擦り減ったり、歯並びに変化が起こって噛み合わせが悪くなったことが原因で発症することもある

顎関節症の治療について

噛み合わせが原因の場合は、リスクの一つである歯の噛み合わせを安定させることが一番の治療法です。

重症と診断されたら手術による治療を行います。そこまでではない方の治療の流れは、口周りの筋肉のこわばり等の症状をなくすトレーニングや、口腔内にマウスピース(ナイトガード)を就寝時に装着して、関節頭を正しい位置に置き、歯の接触を避けるというスプリント療法などを行います。ナイトガードと呼ばれるマウスピースは、保険適用で作製することができます。

顎関節症の症状を緩和するためには?

  • 柔らかい食べ物を選択し、固い肉やフランスパン等は避ける
  • 大きなあくびは慎む
  • 仰向けに寝るようにし、枕は低いものを選びます
  • 頬杖や猫背になっていないか確認する
  • 長い時間同じ姿勢を避け、ストレッチをして体や心をほぐす
  • 歯を強い力で噛みしめないよう意識し、顔の筋肉も和らげる

悪い歯並びが原因で顎関節症の場合の矯正治療

クリニックに行く程度ではないが、少し気になる方の場合をご説明します。まず、顎関節や筋に違和感を感じる時は、安静にしてください。口を開けすぎない・あごを用い過ぎないように軽減し、注意しましょう。
悪い歯並びには、様々な種類があります。いくつかの要因が組み合わされば、悪い歯並びから起因する噛み合わせの悪さにつながります。顎関節症の原因が悪い歯並びによるものならば、必要な歯列矯正を行うと、問題の部分が改善する可能性があります。その場合、ワイヤー矯正か、マウスピース矯正で、歯並びとかみ合わせを良くして、歯や顎の咀嚼機能を正常にします。

顎関節症の治療と矯正に関するQ&A

顎関節症の原因は何ですか?

顎関節症の原因は、一般的には上下の歯の咬合の悪さやズレが生じ、顎関節が不安定になり、負担がかかることが多いです。また、日常的な習慣や癖、外傷による顔面への打撃なども原因となる場合があります。

顎関節症は治りますか?

顎関節症の治療方法には、噛み合わせを安定させることが一番の治療法です。重症と診断された場合は手術が行われることもあります。軽度な場合は、口周りの筋肉のこわばりをなくすトレーニングや、就寝時にマウスピース(ナイトガード)を装着するスプリント療法が行われます。しかし、個々の症状や原因によって、完全に治るかどうかは異なります。

顎関節症の軽度な症状の場合、どのような注意が必要ですか?

顎関節症の軽度な症状の場合、以下の注意が必要です。
– 柔らかい食べ物を選ぶ。固い食べ物や噛む力が強いものは避ける。
・大きなあくびを慎む。
・仰向けに寝るようにし、低い枕を使う。
・頬杖をつかないようにし、姿勢に注意する。
・長時間同じ姿勢を避け、ストレッチを行って体や心をほぐす。
・歯を強く噛みしめないように意識し、顔の筋肉を緩める。

まとめ

歯のキャラクター

「口が開きづらい」「頬に違和感」「噛み合わせが悪いかな?」などお悩みや習癖がある場合は、一度歯科医院へご相談ください。歯科医師が患者さんのお口の状態を確認し、患者さんに合った治療方法をご案内します。もちろん治療には時間や費用がかかるため、疑問や不安な点はドクターもしくは、スタッフへ確認しましょう。しっかり正しく噛めるとリスク因子を減らせて、身体の不調を感じにくくなります。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院
院長 永井 伸人

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本顎咬合学会。

▶プロフィールを見る

クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック