オールオン4とは ― その日に歯が入る仕組みと、入れ歯との違い
監修:院長 永井 伸人(オールオン4・サイナスリフト・インプラント難症例担当)
「オールオン4(オールオンフォー)」は、すべての歯を失った、あるいはこれから失う顎に、最小4本のインプラントを支えとして、固定式の歯を取り戻す治療です。最大の特徴は「手術したその日に、噛める歯が入る」こと。ここでは、その仕組みと、入れ歯との違いを分かりやすく解説します。
オールオン4とは ―「すべての歯を、4本の上に」
オールオン4とは、文字どおり「オール(すべての歯を)・オン・フォー(4本の上に)」載せる、という意味です。すべての歯を失った、あるいは重度の歯周病などでこれから失う顎に、最小4本のインプラントを埋め込み、それを土台に、連結された人工の歯(12本ほどが一体になったもの)をしっかりとネジで固定します。出来上がった歯は取り外し式ではなく「固定式」で、自分の歯のように噛むことを目指します。
なぜ最小4本で、すべてを支えられるのか
片顎にはもともと14本ほどの歯があります。それを最小4本で支えると聞くと、頼りなく感じるのも当然です。その鍵は、インプラントを植える「角度」にあります。奥の2本をあえて斜めに植えることで、骨の良い部分に、長く・しっかりとインプラントを固定できます。この工夫により、少ない本数でも全体を力強く支えられるのです。なお当院では、骨の状態に応じて本数や角度を調整します(オールオンX)。
最大の特徴 ―「その日に、歯が入る」
オールオン4が他の治療と大きく違うのは、「手術したその日のうちに、仮の歯が入る」点です。専門的には「即時荷重」と呼びます。
通常のインプラントでは、人工の根を植えたあと、骨と結びつくまで数か月待ち、その間は歯のない期間を過ごすことがあります。オールオン4では、その日のうちに固定式の仮歯が入るため、「歯のない期間」を避けられる場合が多いのが特徴です。この方法は1998年にポルトガルのパウロ・マロ医師が確立した「オールオン4コンセプト」が始まりで、現在は世界中で広く行われている治療です。
入れ歯と、何が違うのか
「総入れ歯と、どちらがいいの?」というご質問をよくいただきます。大まかな違いを整理すると、次のようになります。
| オールオン4 | 総入れ歯 | |
|---|---|---|
| 装着 | 顎の骨に固定(取り外さない) | 取り外し式 |
| 噛む感覚 | 自分の歯に近い感覚を目指せる | 硬いものが噛みにくいことがある |
| 違和感 | 上顎の覆い(床)を小さくしやすい | 床が広く、味や温度を感じにくいことがある |
| ずれ・外れ | 固定式のためずれにくい | 合わないと外れ・ずれが起きやすい |
| 費用 | 自由診療(保険適用外) | 保険適用の選択肢もある |
どちらが優れている、という話ではなく、お口の状態・ご希望・費用の考え方によって、適した方法は変わります。当院では、入れ歯を含めた選択肢を並べて、一緒に考えていきます。
治療の大まかな流れ
はじめにカウンセリングとCT診断で、骨や神経・血管の状態を立体的に把握し、適応を慎重に判断します。手術当日は、必要に応じて抜歯や骨の処置を行い、インプラントを埋入して、その日のうちに固定式の仮歯を装着します。その後、歯ぐきや骨の落ち着きを待ち、噛み合わせを調整しながら、最終的なセラミックの歯へと仕上げていきます。治療は終わりではなく、定期的なメンテナンスで長くお付き合いしていく治療です。
よくあるご質問
はい、条件が整えば、手術当日に固定式の仮歯を装着できます(即時荷重といいます)。そのため「歯がない期間」が生じにくく、当日からやわらかい食事を始めていただける場合が多いです。ただし、骨やインプラントの初期の固定状態によっては、当日の装着を見合わせ、安全を優先して時期をずらすこともあります。ここは一人ひとり丁寧に判断します。
奥側のインプラントを後方に向けて斜めに埋入することがポイントです。まっすぐ入れるより骨に接する面が広く取れ、土台となる範囲が前後に広がります。この前後左右に配置した支えを、ブリッジ状につながった一体の構造でつなぐことで力が分散され、最小4本でも片あご全体を安定して支えられます。本数を減らせる分、骨を増やす手術や身体への負担を抑えられるのも利点です。
支えとなるインプラントの本数の違いです。オールオン6は6本で支える方法で、あごの骨の状態や噛む力の強さによっては、こちらが適している場合があります。本数は多ければよいというものではなく、骨の量・質と噛み合わせを診たうえで、その方に必要な本数を見極めます。当院では4本・6本ありきではなく、診断に基づいて選びます。
どちらが良いかは、お口や骨の状態、ご希望の生活によって異なります。総入れ歯は手術が不要で、費用を抑えやすい一方、取り外し式のため、噛む力が弱く、ずれや痛みを感じることがあります。オールオン4は固定式で、しっかり噛め、見た目も自然ですが、手術が必要で費用は高くなります。それぞれに利点と負担があり、どちらが適しているかは、ご自身の状態と望む生き方に照らして選ぶことが大切です。
治療期間は、お口の状態によって異なりますが、手術当日に固定式の仮歯が入り、その日から噛める生活を送れるのが、オールオン4の大きな特徴です。そこから、インプラントが骨としっかり結びつくのを待ち、最終的な歯が入るまでは、おおむね半年ほどが目安です。骨を増やす処置を伴う場合は、もう少しお時間をいただくこともあります。「歯のない期間」がないため、治療中も日常生活への支障が少ないのが利点です。