クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
インプラントは基本的に保険適用外の治療なので、高額な費用がかかります。しかし2012年から一部の症例に対しては保険が適用されるようになりましたので、ご紹介します。
インプラントの保険適用のための条件とは?
基本的に保険が適用されないインプラント治療を保険適用で受けるためには、国が定めた条件を満たさなくてはなりません。それにはかなり特殊な症例である必要があります。
どのような条件をクリアすれば保険適用でインプラント治療が受けられるのでしょうか?
1.インプラントが保険適用になる場合
適用になる症例の条件
・病気や第三者による事故によって顎骨を広い範囲にわたって失った
・生まれつき1/3以上の顎骨が欠損しているか形成不全であった
以下の条件を満たしている診療施設でのみ保険適用でインプラント治療が可能です。歯科大学病院などが該当します
- 歯科口腔外科あるいは歯科の病院であること
- 入院用ベット数が20床以上あること
- 当直体制が完備していること
- 医薬品や医療機器等の安全を確保するための体制が整っていること
- 歯科口腔外科あるいは歯科として5年以上稼働していること(または、インプラント治療の経験が2年以上ある医師が常勤で2名以上配置されていること)
2.インプラントに保険が適用されない場合
以下のような理由で歯を失った場合は、インプラント治療を受けても保険が適用されません。
- 虫歯による歯の欠損
- 歯周病による歯の欠損
- 歯根の破損による歯の欠損
- 加齢によって骨が吸収されて歯が欠損した
- 見た目や機能の改善が目的である場合
インプラントに高額療養費制度は適用される?
高額療養費制度は、1ヵ月間にかかった医療費が自己負担限度額を超えた場合に、加入している公的医療保険へ申請することで超えた金額が払い戻される制度です
しかし高額療養費制度は保険適用の医療費(保険診療)が対象となりますので、残念ながらインプラント治療や美容、審美を目的とした歯科の自由診療は対象外となります。
インプラントの治療費を安くするためには?
高額なインプラント治療ですが、少しでも総額を安くしたり、毎月の支払額を抑える方法がありますのでご説明します。
医療費控除で税金から還付してもらう
インプラントの治療費は「失った歯の機能を補う」目的で行いますので、医療費控除の対象になります。医療費控除を受けるためには、確定申告が必要になります。
医療ローンを利用して毎月の支払額を少なくする
殆どの歯科医院ではデンタルローンと呼ばれる、歯科医療を受けた場合にに限って使用できる独自のローンを用意しています。デンタルローンは通常のローンよりも手数料が低く抑えられており、月々の支払回数のバリエーションが多いのが特色です。
かなり少額からの返済に対応していますので、無理のない額で毎月の支払いが可能になります。また、デンタルローンの手続きは一般のローンよりも簡易化されており、オンラインで簡単に申し込みが出来て審査も少し緩い傾向があります。
歯科医院の独自の分割プランを利用する
歯科医院によっては、独自の分割プランで現金や振込みによる返済を行える場合があります。自由業の方など、ローンの審査が通らない方でも、分割プランが利用可能かもしれませんので、インプラント治療を受ける前に歯科医院にお問合せ下さい。
インプラント治療の保険適用に関するQ&A
インプラント治療を保険適用で受けるには、国が定めた条件を満たす必要があります。特殊な症例である必要があり、顎骨を広範囲に失ったり、生まれつき1/3以上の顎骨が欠損している場合が該当します。また、特定の診療施設で治療を受ける必要があります。
インプラント治療に保険は適用されない場合は、以下の理由が該当します:
・虫歯や歯周病による歯の欠損
・歯根の破損による歯の欠損
・加齢による骨吸収による歯の欠損
・見た目や機能の改善が目的である場合
高額療養費制度は保険適用の医療費に対して適用されますが、インプラント治療や美容・審美を目的とした自由診療は対象外です。したがって、高額療養費制度はインプラント治療には適用されません。
まとめ
保険適用でインプラント治療が受けられるのは、先天性の疾患や第三者による事故で広範囲に顎骨を失った場合に限られます。虫歯や歯周病で歯を失った場合は自由診療になりますので、殆どのケースは保険でインプラントが出来ないということになり、残念ながら今後も保険適用になる可能性は低いようです。