インプラント治療の成功に影響する基礎疾患とは?治療前に知っておきたい注意点
クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
インプラント治療の成功に影響する基礎疾患とは?
インプラント治療は多くの方に適応できる治療法ですが、糖尿病や心疾患、骨粗しょう症などの基礎疾患がある場合、治療の成功率や治癒の過程に影響を与えることがあります。
ただし、基礎疾患があるからといって、必ずしもインプラント治療ができないわけではありません。大切なのは、全身の状態を正しく把握し、歯科と医科が連携しながら治療計画を立てることです。
この記事はこんな方に向いています
- 持病があり、インプラント治療を受けられるか不安な方
- 「基礎疾患があると失敗しやすい」と聞いて心配になっている方
- インプラント治療のリスクを正しく理解したうえで判断したい方
この記事を読むとわかること
- インプラント治療に影響を与えやすい代表的な基礎疾患
- 各基礎疾患が、なぜインプラント治療に影響するのか
- 基礎疾患があっても治療成功率を高めるために大切な考え方
目次
インプラント治療は「お口だけの治療」ではないのですか?
インプラント治療は、あごの骨に人工歯根を埋め込む外科的な治療です。そのため、お口の状態だけでなく、血糖値や血圧、骨の状態、免疫機能など全身の健康状態が治癒や定着に深く関わります。
インプラント治療は全身状態の影響を受ける治療です。
インプラントは骨と結合して初めて安定します。この「骨と結合する力」は、全身の代謝や血流、免疫の働きに左右されます。
そのため、歯科医院では治療前に次のような点を確認することが一般的です。
- 持病の有無
- 服用しているお薬
- 最近の体調変化
- 健診や通院状況
これらを把握することで、無理のない治療計画が立てられます。
インプラント治療は「歯を入れる治療」ではなく、「全身の状態を考えながら行う医療行為」だと理解することが大切です。
インプラント治療に影響しやすい主な基礎疾患
インプラント治療では、特定の基礎疾患が治癒や定着に影響を与えることがあります。まずは、どのような疾患が関係しやすいのかを全体像として整理しておきましょう。
| 基礎疾患の種類 | 影響しやすい理由 | 注意すべきポイント |
|---|---|---|
| 糖尿病 | 傷の治りが遅く、感染リスクが高まる | 血糖コントロールの安定性 |
| 心疾患・高血圧 | 外科処置時の全身負担 | 血圧管理・服用薬 |
| 骨粗しょう症 | 骨の質や量に影響 | 骨密度・治療薬の種類 |
| 自己免疫疾患 | 免疫反応が不安定 | 治療時期と体調 |
| 喫煙習慣 | 血流低下により治癒が遅れる | 禁煙・本数の見直し |
この表から分かるように、問題となるのは「病名そのもの」ではなく、治癒力や感染抵抗力、骨の状態に影響する点です。基礎疾患があっても、管理状態によって治療方針は大きく変わります。
出典:インプラント治療の成功に影響する基礎疾患について(厚生労働省)
糖尿病があるとインプラント治療は難しくなりますか?
糖尿病があると、傷の治りが遅くなったり、感染リスクが高まったりするため、インプラント治療の成功率に影響を与えることがあります。ただし、血糖コントロールが安定していれば、治療が可能なケースも多くあります。
血糖値のコントロール状態が重要なポイントです。
糖尿病がインプラント治療に影響する理由として、次の点が挙げられます。
- 傷口の治癒が遅れやすい
- 感染に対する抵抗力が低下しやすい
- 骨の代謝が不安定になりやすい
これらはインプラントと骨の結合に影響を及ぼします。
ただし、内科での治療が安定しており、HbA1cの数値が良好に管理されている場合、慎重な計画のもとで治療を行うことは可能です。
糖尿病=インプラント不可、ではなく、「管理状態をどう評価するか」が判断の軸になります。
糖尿病の管理状態とインプラント治療への影響
糖尿病がある場合でも、すべてのケースでインプラント治療が難しくなるわけではありません。
| 糖尿病の状態 | インプラント治療への影響 | 歯科での対応 |
|---|---|---|
| 血糖値が安定している | 影響は比較的少ない | 通常に近い治療計画 |
| やや不安定 | 治癒が遅れる可能性 | 治療期間や方法を調整 |
| コントロール不良 | 感染・結合不良のリスクが高い | 内科と連携し改善を優先 |
このように、糖尿病の有無だけで判断するのではなく、「今どう管理されているか」が重要になります。歯科と内科が連携することで、安全性を高めた治療計画が立てられます。
心疾患や高血圧がある場合、どんな点に注意が必要ですか?
心疾患や高血圧がある場合、外科処置にともなう体への負担や、服用薬との兼ね合いに注意が必要です。治療そのものよりも、安全に治療を行うための環境づくりが重要になります。
全身管理と医科との連携が重要です。
注意点として、以下が挙げられます。
- 血圧変動による体調不良のリスク
- 抗血栓薬(血をサラサラにする薬)の服用
- ストレスによる心臓への負担
これらを考慮し、必要に応じて主治医と情報共有を行います。治療時間を短くしたり、段階的に処置を進めたりすることで、体への負担を抑える工夫も行われます。
「治療できるか」よりも、「安全に治療できるか」を優先する視点が欠かせません。
骨粗しょう症はインプラント治療に影響しますか?
骨粗しょう症は骨密度の低下が特徴の疾患ですが、必ずしもインプラント治療ができないわけではありません。重要なのは、骨の質と、服用している薬の種類です。
骨の状態とお薬の内容が判断材料になります。
骨粗しょう症に関しては、次の点が確認されます。
- あごの骨の量と質
- 骨粗しょう症治療薬の種類
- 投与期間や投与方法
特に注意が必要なのが、一部の薬剤による顎骨への影響です。歯科用CTなどで骨の状態を正確に把握し、必要に応じて治療方法を調整します。
骨粗しょう症があるからといって一律に断るのではなく、「どのような条件なら安全か」を見極めることが大切です。
骨粗しょう症とインプラント治療の関係
骨粗しょう症という診断名だけで、インプラント治療ができないと考える必要はありません。判断のポイントは、骨の状態と服用しているお薬です。
| 確認項目 | 治療への影響 | 歯科での確認内容 |
|---|---|---|
| あごの骨量 | 骨が少ないと固定が不安定 | CTによる骨量確認 |
| 骨の質 | 骨が弱いと結合に影響 | 骨密度の評価 |
| 治療薬の種類 | 顎骨への影響が出る場合あり | 薬の種類・期間確認 |
骨粗しょう症があっても、あごの骨の状態が良好であれば治療が可能なケースも多いのが実情です。そのため、画像診断を含めた事前評価が欠かせません。
喫煙や複数の基礎疾患がある場合はどう考えますか?
喫煙や複数の基礎疾患が重なると、インプラント治療のリスクは高まります。ただし、リスクを正しく理解し、対策を講じることで成功率を高めることは可能です。
リスクは「重なり方」で評価します。
考慮すべき要素として、以下があります。
- 喫煙による血流低下
- 複数の持病による治癒力の低下
- 服用薬同士の影響
これらは単独では問題にならなくても、重なることで影響が大きくなる場合があります。
だからこそ、治療前の情報共有と生活習慣の見直しが重要です。
基礎疾患があっても成功率を高めるために大切な視点とは?
インプラント治療の成功を左右するのは、「基礎疾患の有無」そのものではなく、「その疾患とどう向き合っているか」です。治療を断られるかどうかではなく、どのような条件で安全に行えるかを一緒に考える姿勢が大切です。
大切なのは、情報共有と治療計画です。
成功率を高めるためには、
- 持病や服用薬を正確に伝える
- 定期的な健診を受けている
- 歯科と医科の連携を重視する
といった姿勢が欠かせません。
インプラント治療は「条件が整えば可能性が広がる治療」です。不安がある場合こそ、早めに相談し、自分に合った選択肢を知ることが、後悔しない治療につながります。
基礎疾患がある場合に成功率を高めるポイント
基礎疾患がある方ほど、治療前後の取り組みがインプラントの成功率に影響します。患者さん自身が意識したいポイントを整理しました。
| ポイント | 具体的な内容 |
|---|---|
| 情報共有 | 持病・服用薬・通院状況を正確に伝える |
| 体調管理 | 定期的な健診を受ける |
| 生活習慣 | 喫煙・睡眠・食生活の見直し |
| 通院継続 | 治療後のメンテナンスを怠らない |
これらは特別なことではありませんが、一つひとつの積み重ねが治癒環境を整えます。基礎疾患がある場合こそ、歯科任せにせず、患者さん自身が治療の一部を担う意識が重要です。
まとめ
インプラント治療の成功に影響する基礎疾患には、糖尿病や心疾患、骨粗しょう症など、全身の健康状態と深く関わるものが多く含まれます。そのため、インプラント治療はお口の中だけを見て判断できる治療ではなく、全身の状態を踏まえた総合的な医療判断が必要になります。
一方で、基礎疾患があるからといって、インプラント治療が一律に難しくなるわけではありません。重要なのは、病気の有無そのものではなく、現在の管理状態が安定しているか、治療にあたってどのような配慮が必要かという点です。血糖値や血圧のコントロール状況、服用しているお薬の内容、生活習慣などを正しく共有することで、治療の安全性や成功率を高めることは十分に可能です。
また、インプラント治療は「できるか・できないか」を即断するものではなく、「どの条件なら無理なく行えるか」を一緒に考えていく治療でもあります。歯科と医科が連携し、患者さん自身も体調管理や健診を継続することで、治療の選択肢は広がります。
基礎疾患があるからこそ、慎重な判断と丁寧な説明が欠かせません。不安を抱えたまま結論を出すのではなく、正しい情報をもとに相談することが、納得できる治療につながります。インプラント治療を検討している方は、ご自身の体の状態を含めて相談できる歯科医院を選ぶことが大切です。
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