インプラントの治療期間はどのくらいかかる?長くなるケースや通院回数まで解説

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

インプラントの治療期間はどのくらいかかる?

インプラントの治療期間は患者さんによって異なり、一律に「○か月」と決めることはできません。 顎の骨へインプラント体を埋入したあと、骨と安定するまで一定期間待つ必要があり、骨造成や歯周病治療、抜歯などが必要な場合はさらに期間が長くなることがあります。

一方で、「治療期間が数か月」と聞いても、その間ずっと頻繁に治療を受け続けるわけではありません。インプラント治療では、骨や歯茎が治るのを待つ期間が治療全体のかなりの部分を占めます。

この記事では、インプラントの治療期間について、治療ステップごとの目安、上顎・下顎の違い、骨造成が必要な場合、通院回数なども含めてわかりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

  1. インプラント治療にどのくらいの期間がかかるのか
  2. なぜインプラント治療は数か月かかるのか
  3. 治療の各ステップと期間
  4. 上顎と下顎で期間が変わる理由
  5. 骨造成や抜歯が必要な場合の違い
  6. 一回法と二回法による違い
  7. 治療期間中は歯がないままなのか
  8. インプラント治療の通院回数
  9. 治療期間を考えるときに大切なポイント

 

インプラントの治療期間はどのくらいかかる?

インプラントの治療期間はどのくらいかかる?の図解

インプラント治療では、相談・検査からインプラント埋入手術、骨との結合を待つ期間、人工歯の作製・装着まで複数の工程があります。そのため、治療開始から完成までは一般的に数か月以上かかります。

ただし、必要な期間は骨の状態、インプラントを入れる場所、抜歯や骨造成の有無、治癒の状態などによって変わります。

インプラント治療の期間は「何本入れるか」だけでは決まりません。特に骨の状態と、追加処置が必要かどうかが大きく影響します。

まず、インプラント治療の大まかな流れを把握しておきましょう。
患者さんによって追加される工程はありますが、基本的には次のような順番で進みます。

治療段階 主な内容 期間に影響するポイント
相談・検査 口腔内検査やCT撮影などを行う 追加検査の有無
事前治療 必要に応じて虫歯・歯周病・抜歯などを行う 治療が必要な歯の状態
インプラント埋入手術 顎の骨へインプラント体を埋め込む 本数・骨造成の有無
治癒期間 インプラントと骨が安定するのを待つ 骨質・埋入部位など
人工歯の作製 型取り・噛み合わせ確認などを行う 歯茎や噛み合わせの状態
人工歯の装着 最終的な被せ物を装着する 調整回数など

こうして見ると、インプラント手術自体は治療全体の一工程にすぎないことがわかります。
治療期間を考えるときは、「手術がいつ終わるか」ではなく、最終的な歯が入るまでに必要なすべての工程を見ることが大切です。

インプラント治療全体の進み方については、インプラント治療の流れとは?カウンセリングから完成までの全ステップを解説もあわせてご覧ください。

なぜインプラント治療には数か月かかるの?

インプラント治療が長くなる大きな理由は、顎の骨に埋め込んだインプラント体が安定するまで待つ必要があるためです。

インプラント体には主にチタンやチタン合金が使用され、埋入後に周囲の骨と安定して結合していく期間を設けます。ここを急いでしまうと、その後の人工歯を安定して支えるための土台が十分に整わない可能性があります。

インプラント治療が長いのは、通院が多いからではなく「骨が治るのを待つ時間」が必要だからです。

日本口腔インプラント学会では、一般的な方法として、インプラント埋入後に下顎では2~3か月程度、上顎では4~6か月程度の期間を置いてから人工歯の作製へ進む方法を紹介しています。

ただし、この数字はすべての患者さんへそのまま当てはまるわけではありません。

骨質やインプラントの安定状態、骨造成の有無などによって、必要な期間は変わります。

日本口腔インプラント学会では、顎の骨にインプラントを埋入したあと、インプラントと骨が結合するためには一定の期間が必要だと説明しています。

インプラント治療はどのようなスケジュールで進む?

インプラント治療は、大きく「準備」「手術」「治癒」「人工歯」という段階に分けて考えるとわかりやすくなります。

この中で時間がかかりやすいのは、手術そのものではなく、手術前の口腔環境づくりと手術後の治癒期間です。

治療スケジュールを知るときは、「何か月か」だけでなく「その期間に何をしているのか」を確認しましょう。

カウンセリング・精密検査では何をする?

まず患者さんの希望や歯を失った経緯を確認し、口腔内検査やCT撮影などを行います。

CTでは、

  1. 顎の骨の高さや幅
  2. 骨の形
  3. 神経との位置関係
  4. 上顎洞との位置関係
  5. インプラントを埋入する位置

などを確認します。

検査結果をもとに、インプラントの本数、位置、手術方法、治療期間、費用などを含めた治療計画を立てます。

虫歯や歯周病があると期間は延びる?

虫歯や歯周病が見つかった場合は、インプラント手術より先に治療することがあります。

特に歯周病がある場合は、歯茎の炎症をできるだけ改善し、口腔内を清潔な状態へ整えてからインプラント治療を進めることが大切です。

また、保存できない歯を抜歯する必要があれば、抜歯後の傷口の治癒を待ってからインプラントを埋入する場合もあります。
このような手術前の治療が必要かどうかも、治療期間を左右します。

上顎と下顎ではインプラントの治療期間が違う?

インプラントと顎の骨が安定するまでの期間は、上顎と下顎で異なることがあります。

一般に上顎は下顎と比べて骨が柔らかい傾向があり、インプラントと骨が安定するまで比較的長い期間を設けることがあります。

「インプラントは○か月」と一律に考えず、どこにインプラントを入れるのかも治療期間の重要なポイントです。

日本口腔インプラント学会では、一般的な治癒期間の目安として、下顎では2~3か月程度、上顎では4~6か月程度の期間を置いてから人工歯の作製へ進む方法を紹介しています。ただし、実際の期間は骨の状態や使用するインプラントなどによって異なります。

埋入部位 骨との結合を待つ期間の一般的な目安 特徴
下顎 2~3か月程度 比較的骨が硬い傾向があります。
上顎 4~6か月程度 下顎より骨が柔らかいことがあり、長めに待つ場合があります。

ただし、「上顎なら必ず6か月」「下顎なら必ず3か月」という意味ではありません。
インプラントを入れる場所の骨質や骨量、初期固定の状態などによって治療計画は変わります。

骨造成をするとインプラントの治療期間は長くなる?

顎の骨が不足している場合には、GBR、ソケットリフト、サイナスリフトなどの骨造成を行うことがあります。

骨造成が必要になると、骨を造り、その骨が安定するのを待つ工程が加わるため、骨造成を行わないケースより治療期間が長くなることがあります。

骨造成がある場合は、「インプラントの治癒期間」に加えて「骨をつくるための期間」が必要になることがあります。

治療期間が変わりやすい代表的なケースを整理してみましょう。
「インプラント1本だから短期間」とは限らないことがわかります。

ケース 治療期間への影響
骨造成なし 標準的な治療の流れで進められる場合があります。
GBRを同時に行う 骨とインプラントの治癒状態を確認しながら進めます。
骨造成を先に行う 造成した骨が安定してからインプラントを埋入するため、期間が長くなります。
ソケットリフト・サイナスリフト 上顎の骨量や術式によって治療期間が変わります。
抜歯後に埋入する 抜歯後の治癒を待つ場合は、その期間が加わります。

日本口腔インプラント学会も、インプラント予定部位に骨造成が必要な場合には治療期間がさらに延びることがあると説明しています。

骨造成は治療を遅らせるための処置ではなく、インプラントを安定して支えられる環境を整えるための工程と考えるとわかりやすいでしょう。

GBR・ソケットリフト・サイナスリフトなど、骨が少ない場合の治療については、骨造成にも対応する当院のインプラント治療をご覧ください。

一回法と二回法で治療期間は変わる?

インプラント手術には、大きく分けて一回法と二回法があります。

一回法ではインプラント埋入後、インプラントの一部またはその上に付けた部品を歯茎の上へ出した状態にします。

二回法ではインプラントを歯茎の中へ一度覆い、骨との結合を待ってから二次手術を行います。

二回法は手術工程が一つ増えますが、「一回法の方が必ず短くて良い」と単純には判断できません。

どちらを選択するかは、

  1. 骨の状態
  2. インプラントの安定性
  3. 手術部位
  4. 骨造成の有無
  5. 口腔内の状態

などを考慮して決めます。

治療期間だけを理由に術式を選ぶのではなく、安全性や治療計画を優先することが大切です。

インプラント手術の一回法・二回法について詳しく知りたい方は、インプラント手術の1回法と2回法は何が違うの?をご覧ください。

治療期間中はずっと歯がない状態になる?

前歯など見た目が気になる部分では、「完成まで数か月なら、その間ずっと歯がないの?」と心配される方もおられます。

治療部位や口腔内の状態によっては、治癒期間中に仮歯を使用できる場合があります。

数か月の治療期間があるからといって、必ずその間ずっと歯がない状態で過ごすとは限りません。

ただし、仮歯を入れられるかどうか、どのような方法で仮歯を使用するかは症例によって異なります。

特にインプラント埋入直後は、手術部位に強い噛む力をかけたくない場合があります。

見た目や仕事への影響が心配な方は、治療開始前に、

  1. 仮歯は使えるか
  2. 歯がない期間はあるか
  3. いつから通常に近い食事ができるか

まで確認しておきましょう。

インプラントの治療期間を短くできることはある?

症例によっては、抜歯と同時にインプラントを埋入する方法や、条件が整えば比較的早い段階で仮歯を装着する方法などを検討できる場合があります。

ただし、すべての患者さんに適応できるわけではありません。

治療期間の短さだけで治療方法を選ばず、安全にインプラントを安定させられる方法を優先しましょう。

期間を短縮できるかどうかには、

  1. 顎の骨の状態
  2. 抜歯した部位の状態
  3. インプラントの初期固定
  4. 感染の有無
  5. 噛み合わせ
  6. 全身状態

などが関係します。

「早く終わる治療」が、その患者さんにとって最も良い治療とは限りません。
インプラントでは、短期間で完成させることよりも、長く安定して使える状態を目指すことが重要です。

インプラント治療では何回くらい通院する?

インプラントの治療期間が長いと聞くと、「半年間、毎週通院するの?」と思うかもしれません。

しかし、治療期間の大部分はインプラントと骨の結合や、歯茎の治癒を待つ時間です。そのため、治療期間の長さと通院回数は必ずしも比例しません。

「治療期間が半年」と「半年間ずっと治療へ通い続ける」は同じ意味ではありません。

インプラント治療で通院する主なタイミングを整理しました。
実際の回数は治療内容や術後経過などによって変わります。

通院する段階 主な目的
初診・相談 悩みや希望を確認します。
精密検査 CT撮影や口腔内検査などを行います。
事前治療 必要に応じて虫歯・歯周病などを治療します。
埋入手術 インプラント体を顎の骨へ埋入します。
術後確認 傷口やインプラントの状態を確認します。
治癒期間中 必要に応じて経過を確認します。
人工歯作製 型取りや噛み合わせの確認を行います。
人工歯装着 最終的な被せ物を装着します。

虫歯・歯周病治療や骨造成が必要であれば、その分だけ通院回数も増えます。
「全部で何回」と数字だけを確認するよりも、自分にはどの工程が必要なのかを治療前に確認する方が予定を立てやすいでしょう。

インプラントの治療期間が長くなりやすいのはどんな人?

インプラント治療の期間は、歯科医院側の治療スケジュールだけで決まるものではありません。
口腔内や全身状態によって、十分な準備や治癒期間が必要になることがあります。

治療が長くなることは、必ずしも治療がうまく進んでいないことを意味しません。必要な治癒を待っている場合があります。

特に期間が長くなりやすいのは、

  1. 骨量が不足している方
    → 骨造成を先に行う場合は、骨が安定する期間が追加されます。
  2. 歯周病がある方
    → インプラント手術の前に歯周病をコントロールする必要があります。
  3. 抜歯が必要な方
    → 抜歯部位の治癒を待ってからインプラントを入れる場合があります。
  4. 骨や歯茎の治癒に時間が必要な方
    → 治癒速度には個人差があります。
  5. 複数の治療を同時に行う必要がある方
    → インプラント以外の治療との順番を調整する場合があります。

このようなケースでは、「どうして自分だけ時間がかかるのだろう」と焦る必要はありません。
重要なのは、予定より何週間早く終わるかではなく、必要な工程を安全に終えてから次へ進めているかです。

インプラント治療期間を考えるときに大切なことは?

インプラントの治療期間を調べると、「3か月」「半年」「1年」などさまざまな数字が出てくるため、混乱する方もいるでしょう。

これは、数字のどれかが間違っているというより、対象としている症例や「どこからどこまでを治療期間とするか」が違うためです。

ネット上の平均期間より、「自分の場合は何が必要で、なぜその期間が必要なのか」を確認することが大切です。

治療前には、

  1. 抜歯は必要か
  2. 骨造成は必要か
  3. インプラントを入れるのは上顎か下顎か
  4. 一回法と二回法のどちらを予定しているか
  5. 仮歯は使えるか
  6. 最終的な人工歯はいつ入る予定か
  7. 通院はどのくらい必要か

などを確認しておくと、治療スケジュールを具体的にイメージできます。

そして、もう一つ知っておきたいのが、「治療期間」と「治療している時間」は違うということです。
インプラント治療では数か月かかる場合でも、その大部分が骨や歯茎の治癒を待っている期間ということがあります。

仕事や日常生活の予定を立てる際には、「完成まで何か月?」だけでなく、「その間、何回来院するのか」「仕事を休む可能性がある日はいつか」まで確認すると、より現実的な治療計画を立てやすくなります。

手術後の痛み・腫れ・出血などが気になる方は、インプラント手術後に起こりやすい症状とは?正常な経過と受診の目安を解説もご覧ください。

まとめ|インプラントの治療期間は「長さ」より「なぜ必要なのか」を知ろう

インプラント治療は、一般的に数か月以上かけて進める治療です。

基本的には、

相談・検査
→必要な事前治療
→インプラント埋入手術
→骨との結合を待つ
→人工歯の作製・装着

という順番で進みます。

治療期間は、

  • 顎の骨の状態
  • 上顎・下顎の違い
  • 骨造成の有無
  • 抜歯の有無
  • 虫歯・歯周病治療の有無
  • 一回法・二回法
  • 傷や骨の治癒状態

などによって変わります。

日本口腔インプラント学会でも、インプラント治療の開始から終了までの期間は個々の症例によって異なり、特にインプラントを埋入する部位の骨の状態や、骨造成の必要性によって変わると説明しています。

治療期間が長いと聞くと、「ずっと歯科医院へ通わなければならないのでは」と不安になるかもしれません。

しかし、インプラント治療では、骨や歯茎が治るのを待つ時間が期間の大きな部分を占めます。

そのため、単純に「何か月で終わるか」だけで治療方法や歯科医院を比較するのはおすすめできません。

大切なのは、

自分にはどの工程が必要なのか、なぜその期間を待つ必要があるのか、最終的な人工歯が入るのはいつごろなのか

を治療前に確認することです。

インプラントは、早く完成させることだけを目指す治療ではありません。必要な治癒期間を確保しながら一つずつ工程を進めることが、その後インプラントを安定して使っていくためにも大切です。

関連ページ:クローバー歯科あべの天王寺院のインプラント治療