歯と口のトラブル

歯ぎしりをやめたいけどどうしたらいい?

歯ぎしりをやめたいけどどうしたらいい?

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

歯ぎしりをしていると指摘されたらショックを受けると思います。無意識下で起こる歯ぎしり・食いしばり・噛みしめにはどんな対策が良いのか、症状を緩和させる可能性のある方法をご説明します。

歯ぎしりをやめるには?

ストレス

歯ぎしりの原因は実ははっきりとわかっていません。ストレスが原因のひとつであるといわれますが、日常的に起こっているストレスを減らすことはそう簡単ではありません。ストレスの原因は一つであるとは限りませんので、ストレスそのものをなくしてしまうというよりは、ストレス解消のために効果のあることを試してみる必要があります。

ストレスによってアルコールやタバコの本数が増えている方の場合は、飲酒や喫煙を我慢すると、更にストレスが増します。

そのため、出来るだけリラックスした状態を心がけ、好きな音楽やスポーツなど、楽しく打ち込めてストレスを発散できることを見つけましょう。

歯ぎしり、食いしばりの歯へのダメージを緩和するナイトガード

ナイトガード

歯ぎしり、食いしばりの原因は現代の医学では解明されていないため、直接的に治療することは出来ません。歯ぎしり、食いしばりの症状のある患者さんに対して歯科医院では、まず歯や顎へのダメージを軽減させるために、ナイトガードと呼ばれる睡眠時に付けるマウスピースを作製します。

ナイトガードをつけて寝ることで、歯ぎしりによる歯のすり減りから歯を守ります。マウスピースを装着しても歯ぎしりそのものを治すことは出来ませんが、歯ぎしりによって起こる症状の改善に繋がります。

ナイトガードは保険適用で作れますので、歯ぎしりや食いしばりのある方は、まずマウスピースで歯や顎を保護することから始めましょう。

歯ぎしりの3つのタイプ

歯ぎしりには3つのタイプがありますのでご説明します。

1. 眠っている間の歯ぎしり「グラインディング」

歯ぎしり

就寝中に無意識のうちに歯を横方向に強い力で擦り合わせ、ギリギリと音を立てる症状が発生するのをグラインディングといいます。一般的に歯ぎしりと聞いて思い浮かべる症状です。

通常は上下の歯は触れ合わずに隙間が空いています。しかし歯ぎしりをしている間はストレスなどの影響で口腔周囲の筋肉が緊張して力が入り、上下の歯が触れ合っています。無意識下で起こり、歯や顎、顎関節に大きな力がかかるため、歯や顎に悪い影響を与えます。

2. 上下の歯を噛みしめる「クレンチング」

噛みしめ・食いしばり

クレンチングは上下の歯にぐっと力を入れて強く噛みしめる歯ぎしりです。睡眠中ではなく昼間に無意識で起こります。噛みしめが続くと、上下の歯の噛み合わせの面が削れてすり減ってしまうことがあります。

 

3. 上下の歯をカチカチ鳴らす「タッピング」

タッピング

タッピングは上下の歯をリズミカルにカチカチと合わせ、音が鳴るのが特徴です。いわゆる歯ぎしりとは音が違います。眠っている間に起こることもあります。

 

歯ぎしりをすると歯にどんな影響があるの?

歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりを放っておくと歯や顎に大きな負担がかかるため、悪影響を与えます。主に考えられるのは以下のようなものです。

  1. 顎関節症になるリスクがある
  2. 詰め物・被せ物が外れやすくなる
  3. 詰め物・被せ物が欠ける、割れる
  4. 歯がすり減る、欠ける、割れる、ひびが入る
  5. 知覚過敏によって歯が痛い、しみるといった症状が出る
  6. 歯並びが変わる
  7. 強い力がかかりすぎて歯根にひびが入る
  8. 肩こりや頭痛が起こるときがある

歯ぎしり・食いしばり・噛みしめを無意識のうちに行ってしまう方は意外と多くおられます。しかし自分で咬合の力の程度をコントロールすることが出来ないので、やめたいと思っても簡単にはやめることが出来ません。

そのため、上記のような症状がひどくなる前に、一度歯科医院にご相談ください。現在の歯の状態を調べ、症状を改善させるための方法や解決策についてご説明します。

歯ぎしり、食いしばりなどのセルフチェックをしてみよう

歯の悩み□ 歯ぎしりしていると指摘されたことがある
□ 仕事中やテレビを見ている時など集中すると、無意識で歯を食いしばっていることがある
□ 歯の詰め物が取れたり割れたりする
□ 知覚過敏の歯がある
□ 朝起きた時に顎や頬の筋肉がだるい(こっている)
□ 頬や舌に歯を押し付けた跡がくっきりついている
□ 歯がすり減って短くなっている
□ 下の歯の内側、上の歯の頬側、上顎の真ん中などに骨のコブがある

歯ぎしり・噛みしめ・食いしばりの原因は?

歯ぎしり・噛みしめ・食いしばりの主な原因と考えられているものは以下のものです。ただし、それらが歯ぎしりなどが起こっている直接的な原因であるかどうかは医学的にははっきりとしません。

1. ストレス

圧倒的に多いと考えられているのがストレスによる歯ぎしりです。悩みなどの本人が自覚しているストレスと、自覚しておらず無意識下で起こっているストレスがありますので、簡単に解決出来ませんが、ストレスの原因を明らかにして問題を改善していく必要があります。

2. 習慣

スポーツ選手などで瞬発的に力を発揮する場合、瞬間的な食いしばりが起こっていることがあります。また、スポーツ時の食いしばりが癖になってしまって睡眠時に歯ぎしりの症状が出る場合もあります。

3. 噛み合わせ、骨格

噛み合わせの異常や顎関節に原因があったり、詰め物や被せ物の高さが合っていない時に、無意識に噛み合わせを正常な位置にもっていこうとして歯ぎしりや食いしばりが起こる場合があります。

4. 永久歯と乳歯の生え変わり時期におこるもの

歯の生え変わりの際の不快感や違和感などが原因で歯ぎしり・食いしばりが起こることがあります。成長の過程として起こっていることなので、生え変わりの時期が終われば自然になくなります。

5. 睡眠時無呼吸症候群

眠っている間に何度も呼吸が止まり低酸素状態が発生する病気で、呼吸が止まっている間に歯ぎしりをする方もおられます。歯ぎしりへの対策もしなければなりませんが、睡眠時無呼吸症候群を起こしている元々の原因に対処する必要があります。

歯ぎしりが引き起こす睡眠時ブラキシズムに注意

睡眠中に歯を噛みしめたり歯ぎしりをすることを「睡眠時ブラキシズム」といいます。歯ぎしりは歯や顎への影響だけではなく、寝ている間に無意識のうちに歯ぎしりをすると熟睡できず、不眠になる方もおられます。

睡眠中の無意識下での歯ぎしりは、本人には全くコントロールできませんので、知らず知らずのうちに歯や顎に大きな力をかけ続け、歯を傷めてしまいます。眠りの質を上げるために、寝室の温度や寝具、枕の高さ、パジャマなどを快適なものに整えることも大切です。

まとめ

睡眠中の歯ぎしり

無意識のうちに行ってしまう歯ぎしり、食いしばり、噛みしめは、寝ている間だけでなく日中も起こっていることがあります。そのまま放置すると、顎関節症の症状が出たり、歯がすり減ったりして知覚過敏を起こすこともありますので、早めに歯科医院に相談して症状を改善しましょう。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院
院長 永井 伸人

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本顎咬合学会。

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クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック