監修:院長 永井 伸人(オールオン4・サイナスリフト・インプラント難症例担当)

部分インプラントとオールオン4、 正しい選び方(バランサー理論)

「オールオン4か、部分的なインプラントか」。しばしば対立する選択肢のように語られますが、本質は“どちらが優れているか”ではなく、“あなたに、どちらが適正か”です。インプラントを「バランサー(均衡を立て直す柱)」として捉えると、その選び方が見えてきます。

インプラントの本質は「バランサー」である

インプラントの真価は、単に「失った一本を埋める」ことだけにあるのではありません。崩れてしまった口の中のバランスを、もう一度立て直すための、安定した新しい柱になること。柱が抜けて傾きかけた建物に、しっかりした柱を据え直すと全体が安定を取り戻す――インプラントが果たすのは、まさにこの役割です。

部分インプラント ―「他の歯を残すためのバランサー」

一本の歯を失ったまま放っておくと、その負担が残った歯にのしかかります。そこに部分的なインプラントを据えると、失われた一本分の仕事を引き受けてくれ、まわりの歯の負担が軽くなる。つまり部分インプラントの本質は、「失った歯を埋める」こと以上に、「ほかの自分の歯を、これ以上失わないために据える」ことにあります。だからこそ、ほかの歯を一生残すつもりで行うべきものです。

オールオン4が向くのは

一方で、すでに多くの歯が崩れ、口全体を根本から立て直さなければならない段階に来ている場合。残そうとしている歯そのものが次々と崩れていくことが見えているのに部分インプラントを選ぶと、それを支えにまた「沼」の連鎖が始まってしまうことがあります。こうした方のために用意された、口全体を立て直す強力なバランサーが、オールオン4です。

大切なのは「適正」を見極めること

インプラントというバランサーには、二つの顔があります。ひとつは、他の歯を残すための部分的なバランサー。もうひとつは、崩れた口全体を立て直す全体のバランサー=オールオン4です。どちらが優れているという話ではなく、あなたのお口の状態にどちらが「適正」かを正しく見極めることが何より大切で、それを誤れば、どちらを選んでも後悔につながりかねません。

 

ほかの歯が十分健康で一本だけの問題なら、全体を治すオールオン4は過剰です。逆に全体が崩れているのに部分で対応すると沼に戻ることも。だからこそ、見極めが要になります。

オールオン6・ブリッジとの違い

「オールオン6」はインプラントの本数が異なる考え方で、骨の状態などに応じて本数を選びます(当院では状態に合わせて設計する“オールオンX”の考え方をとっています)。「ブリッジ」は失った歯の両隣の健康な歯を削って橋を渡す方法で、なんともなかった隣の歯を犠牲にする面があります。インプラントは独立した根を据えるため、両隣の歯を傷つけにくいのが利点です。

だから、診てから決める

「自分は部分で足りるのか、全体を立て直すべきか」。その答えを分けるのが“適正かどうか”であり、それを正しく見極めるには、口全体と、その奥にある原因、さらに数年先の未来までを見通した診断(時系列診断)が欠かせません。場当たり的に決めるのではなく、全体の物語の中にその治療を位置づける。当院が大切にしている考え方です。

諦める前に、一度ご相談ください。

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よくあるご質問

結局、自分にはどの治療がいちばん向いているのか分かりません。

どの治療が向いているかは、お口や骨の状態、ご希望、生活スタイル、ご予算など、さまざまな要素で変わります。ご自分だけで判断するのは難しいのが当然です。だからこそ、専門家による診断と、丁寧な説明が欠かせません。複数の選択肢と、それぞれの利点・負担を正しく知ったうえで、納得して選ぶことが大切です。迷っている状態のまま、一度ご相談ください。情報を整理するお手伝いから始めます。

1本ずつインプラントを入れるのと、オールオン4は何が違うのですか?

失った歯の本数だけインプラントを入れる方法と、最小4本で全体を支えるオールオン4とでは、適している状況が異なります。残っている歯が少なく、多くの歯を補う必要がある場合、1本ずつ入れるとインプラントの本数が多くなり、費用も身体への負担も大きくなりがちです。オールオン4は、少ない本数で全体を支えるため、こうした負担を抑えられます。一方、失った歯が少なく、健康な歯が多く残っている場合は、部分的なインプラントのほうが適しています。

ブリッジとオールオン4は、どう違うのですか?

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を削って土台にし、橋をかけるように人工歯を補う方法です。比較的短期間ででき、保険が適用される場合もありますが、健康な歯を削る必要があり、また多くの歯を失った場合には適用できません。オールオン4は、隣の歯を削らず、インプラントを土台にして全体を支えます。多くの歯を失った方には、ブリッジでは対応できないため、オールオン4などの方法が選択肢となります。

自分にいちばん合う治療を、相談しながら決められますか?

はい、もちろんです。歯の治療には複数の選択肢があり、どれが最適かは、お口や骨の状態、ご希望、生活スタイルによって異なります。それぞれの利点と負担を正しくお伝えしたうえで、ご自身が納得して選べるようにすることが、私たちの役割です。最初から特定の治療に決めつけるのではなく、診断にもとづいて複数の道をご提示し、一緒に考えていきます。どうぞ、何でもご相談ください。