他院で「もう抜くしかない」と言われた方へ ― 諦める前に、知ってほしいこと
監修:院長 永井 伸人(オールオン4・サイナスリフト・インプラント難症例担当)

「もう抜くしかありません」「あなたにインプラントは難しい」「総入れ歯にしましょう」。そう言われて、行き場をなくしてしまった方へ。骨が足りない、重度の歯周病で歯がグラグラ――そうした“難症例”でも、骨から整えて噛む力を取り戻せる場合があります。まず、知っておいてほしいことをお話しします。
はじめに、はっきりお伝えします。
歯を多く失ってきたのは、あなたのケアが足りなかったからとは限りません。歯周病へのなりやすさには体質や個人差が大きく関わっていて、これは医学的にも知られていることです。どうか、ご自分を責めないでください。
なぜ「あなたには難しい」と言われてしまうのか
まじめに通院してきたのに断られてしまう。その背景には、歯科医療をとりまく“構造”も関係しています。
多くの歯を失い、骨もやせ、噛み合わせも崩れた状態の治療は、長い時間と高度な技術、強い集中を必要とし、リスクも伴います。そのため、難症例にあえて取り組む医院は限られているのが実情です。これは個々の歯科医師を責める話ではありません。ただ、その結果として、行き場をなくす方が生まれてしまう。もしあなたがつらい思いをしているなら、それはあなたの努力不足ではなく、こうした構造の中でたまたま光の当たりにくい場所に立たされてしまった、という面があるのです。
「断られる」ことの多い、3つのケース
① 骨が足りない・薄いと言われた
インプラントを支える顎の骨がやせている。とくに上の奥歯では、骨の高さが足りずに「無理」と言われやすい部位です。
② 重度の歯周病で歯が全体的にグラグラ
一部ではなく口全体が進行していて、もう支えられないと判断されたケース。
③ 合わない入れ歯・過去の治療がうまくいかなかった
入れ歯が合わず作り直しを繰り返している、あるいは以前のインプラントがうまくいかなかった、という方。
それでも、噛む力を「再構築」できる理由
「難しい」と言われた状態でも、対応できる場合があります。当院が大切にしている考え方をご紹介します。
骨が足りないなら、骨から“地盤”をつくる
骨が足りないことは、必ずしも断念の理由になりません。サイナスリフト(上顎の骨を増やす処置)やGBRといった骨造成で、失われた骨を補い、インプラントの土台を整えることができます。当院ではこの増骨を強みのひとつとし、年間150症例以上に携わっています。さらに、歯周病で失われた骨の再生と、オールオン4を同じ日に進められる場合もあります。
重度の歯周病こそ、感染源を取り除いてから
オールオン4では、ぐらついた歯を抜き、歯周病に侵された組織を徹底的に取り除いてから、インプラントを植えます。感染の原因そのものを取り去るため、これまで歯周病に苦しんできた方でも、新たな一歩を踏み出せる可能性があります。
「4本ありき」にしない ― 骨に合わせて設計する
オールオン4は最小4本で支える方法ですが、当院では骨の状態に応じて本数や角度を設計します(オールオンX)。骨の良い部分を選んで傾斜させて埋入することで、少ない本数でもしっかり支える。頬骨にまで及ぶリスクの高い方法(ザイゴマインプラント)には頼らず、確立された安定した方法を選ぶことを基本にしています。
安全への考え方
計画はCT診断とサージカルガイドで精密に行い、神経や血管への配慮を徹底します。そして、今だけでなく5年後・10年後・20年後の口の中まで見通して計画を立てる「時系列診断」を重視しています。安全第一を最優先に、骨やインプラントの状態によっては、無理をせず時期を分けてご提案することもあります。
まず、知っておいてほしいこと
治療は、患者さんと2人三脚で進めるものです。不安や疑問にはとことん向き合い、すべてご納得いただいたうえで進めます。「他院でダメだと言われた」「もう恥ずかしくて見せられない」――そう感じている方こそ、一度ご相談ください。今すぐ治療を決める必要はありません。セカンドオピニオンだけのご相談でも大丈夫です。
よくあるご質問
はい、ぜひ一度ご相談ください。「インプラントは難しい」という判断は、骨の量や全身の状態、あるいはその医院で対応している治療の範囲によって変わることがあります。別の医院では、異なる診断や選択肢が示される場合も少なくありません。当院ではCTで骨や神経・血管の位置を立体的に把握したうえで、可能性を慎重に診断します。断られた経験がある方も、諦める前に一度、現状を診せてください。
総入れ歯は大切な選択肢のひとつですが、「それしかない」とは限りません。多くの歯を失った方や、骨が痩せてしまった方でも、オールオン4のように固定式で噛む力を取り戻す方法が選べる場合があります。一方で、手術を避けたい方や全身状態によっては、総入れ歯が適していることもあります。大切なのは、複数の選択肢とそれぞれの利点・負担を知ったうえで、ご自身で選べることです。まずは選択肢をすべてお聞きになってください。
骨が薄い方でも、対応できる場合があります。骨が比較的しっかり残っている部分を選んでインプラントを傾けて埋入したり、必要に応じて骨を足す治療(サイナスリフトなど)を併用したりして設計します。まずCTで骨や神経・血管の位置を立体的に把握し、適応かどうかを慎重に診断します。骨の状態は一人ひとり異なるため、断られた経験がある方も、一度ご相談ください。
はい、重度の歯周病で多くの歯がぐらついている方こそ、オールオン4が適している場合があります。オールオン4では、保存が難しい歯を抜き、歯周病に侵された組織を取り除いたうえで、インプラントで固定式の歯を支えます。感染の原因となっていた歯を整理することで、かえって安定した状態を目指せるのです。歯周病が進んでいることだけを理由に諦める必要はありません。まずは状態を診せてください。
すべての方に必要なわけではありません。骨の量が十分にあれば、骨を増やす処置をせずに進められることもあります。骨が不足している場合に、サイナスリフトなどで骨を補い、インプラントを安定させる土台をつくります。必要かどうかは、CTで骨の量と質を立体的に確認したうえで判断します。不要な処置を増やすことはせず、その方に本当に必要な範囲をご説明します。