矯正歯科

矯正歯科の医院による治療方針の違いはどんな部分に出やすい?

矯正歯科の医院による治療方針の違いはどんな部分に出やすい?

クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人

矯正歯科の医院による治療方針の違いはどんな部分に出やすい?

使用する装置、治療期間の考え方、抜歯の判断基準、費用の提示方法、さらには治療後のフォロー体制など、多くの場面に違いが現れます。

この記事はこんな方に向いています

  • 矯正歯科で治療を検討しているが、医院ごとの違いに戸惑っている方
  • 複数の医院でカウンセリングを受け、どこに通えばいいか悩んでいる方
  • 「抜歯が必要と言われたが、本当にそうなのか知りたい」と感じている方
  • 治療費や期間、方法について比較検討したい方

この記事を読むとわかること

  1. 矯正歯科ごとに治療方針が異なる理由
  2. 治療装置や期間、費用に関する考え方の違い
  3. 医院選びで確認すべきチェックポイント
  4. 患者さん自身が納得して選択するための判断材料

 

なぜ医院によって治療方針が異なるの?

治療方針が異なる理由

矯正歯科の治療方針が異なるのは、歯科医師の経験や専門性、採用している治療理念、設備の有無などが影響しているためです。最新技術を積極的に導入する医院もあれば、従来の安定した方法を重視する医院もあります。

治療方針の違いは歯科医師の考え方や経験の差から生じます。

具体的な違いの要因

  • 歯科医師の専門分野や治療経験
  • 採用している治療理念(見た目重視か、噛み合わせ重視か)
  • 設備や装置の充実度
  • 治療にかけられる時間や人員体制

 このように医院ごとの背景が、治療計画に反映されます。

抜歯か非抜歯か、判断が分かれるのはなぜ?

矯正歯科で最も悩むポイントの一つが「抜歯が必要かどうか」です。歯を抜いてスペースを作る方が仕上がりが良いと考える医師もいれば、できる限り抜歯せずに歯列を整えることを重視する医師もいます。

抜歯の判断基準は医院ごとに異なります。

違いが出やすい判断基準

  • 歯列の大きさと顎骨のバランスをどう評価するか
  • 横顔や口元の美しさをどこまで重視するか
  • 将来の歯の健康リスクをどう考慮するか

抜歯・非抜歯の方針は患者さんの顔立ちや噛み合わせに直結するため、複数の意見を聞くことが大切です。

抜歯か非抜歯かの判断は、単に「歯が並ぶスペースがあるかどうか」だけでなく、長期的な安定性や全身への影響も踏まえて決定されます。

  1. 顎骨の成長や大きさの違い
    → 顎が小さい方は歯が並ぶスペースが不足しがちで、無理に非抜歯で並べると前歯が前方に突出してしまう場合があります。逆に顎が十分に大きければ、非抜歯で美しく並べられる可能性が高まります。
  2. 噛み合わせのバランス
    → 見た目を優先して非抜歯で並べても、奥歯の噛み合わせにズレが生じれば、咀嚼効率や顎関節に悪影響を及ぼす可能性があります。安定した噛み合わせを得るために、あえて抜歯を選ぶケースもあります。
  3. 顔貌の調和
    → 矯正は歯並びだけでなく横顔や口元のバランスにも関わります。非抜歯で歯列を広げすぎると口元が前に出すぎる「口ゴボ」の状態になることがあり、美的観点から抜歯を選択する医院もあります。
  4. 将来の歯や歯茎への負担
    → 歯を無理に並べることで歯肉退縮(歯茎が下がる)や歯の傾斜が強くなり、長期的に歯を失うリスクが高まる可能性もあります。こうしたリスク回避のため、あえて抜歯を行う医院もあります。

このように「抜歯=悪い」「非抜歯=良い」と一概に決められるものではなく、患者さんの骨格・歯の大きさ・顔の印象・将来の安定性を総合的に判断する必要があります。医院ごとに評価基準や治療理念が異なるため、治療方針に違いが出やすいのです。

抜歯矯正と火抜歯矯正の比較

項目 抜歯矯正 非抜歯矯正
スペースの確保方法 歯を抜いてスペースを作る 顎の拡大や歯の移動で対応
仕上がりの特徴 横顔がすっきりしやすく、口元の突出を抑えられる 歯を抜かないため自然な歯列の本数を保てる
噛み合わせ 安定した噛み合わせになりやすい 無理に並べると奥歯の噛み合わせに負担がかかることも
顔貌への影響 口元が引き締まりやすい 口元が前に出やすくなる場合もある
歯や歯茎への影響 抜歯部分の負担軽減で安定性が高まる 歯の傾斜や歯茎の後退が起こる可能性あり
適応症例 顎が小さく歯のサイズが大きい場合 顎が大きい・不正咬合が軽度の場合

この表から分かるように、「抜歯=悪い」「非抜歯=良い」と単純に分けられるものではなく、それぞれにメリットとリスクがあります。大切なのは「自分の骨格・歯列・顔貌」に合った方法を選ぶことです。同じ不正咬合でも医院によって判断が異なるのは、評価基準や重視するポイントが違うからです。

使用する装置や方法にどんな違いがある?

ワイヤー矯正、マウスピース矯正(インビザラインなど)、部分矯正、舌側矯正など、医院によって得意とする装置や方法が異なります。最新の装置を積極的に導入している医院と、伝統的なワイヤー矯正を中心に行う医院では治療方針に差が出ます。

医院によって採用する装置や方法が異なります。

装置の種類と特徴

  1. ワイヤー矯正 → 適応範囲が広く、精密な治療が可能
  2. マウスピース矯正 → 見た目に目立ちにくく取り外し可能
  3. 舌側矯正 → 外から見えないが難易度が高い
  4. 部分矯正 → 前歯だけなど、限定的な改善に向いている

医院がどの装置を得意とするかで、治療の選択肢や仕上がりに違いが出ます。

治療期間や通院頻度は医院で変わる?

治療期間の見積もりや通院頻度も医院によって異なります。短期間での改善を重視する医院もあれば、安定性を優先し時間をかける医院もあります。

期間や通院頻度にも違いがあります。

違いが出るポイント

  • 平均的な治療期間(2年〜3年を目安とする医院が多い)
  • 通院頻度(1か月ごと、2か月ごとなど医院によって差がある)
  • 治療計画にスピード矯正や補助装置を導入するかどうか

無理のないペースで続けられるかが重要です。

費用体系や支払い方法はどう違う?

矯正治療は自費診療であり、費用は医院によって大きく異なります。一括払い、分割払い、デンタルローンなど支払い方法の違いも含めて比較が必要です。

費用や支払い方法は医院ごとに差があります。

費用面での違い

  1. 装置ごとの料金設定(ワイヤー矯正かマウスピース矯正か)
  2. トータルフィー制度(最初に全額提示する方式)か、毎回の調整料制か
  3. 分割払い・ローンの対応有無

 治療の総額と支払い方法の柔軟さは、患者さんにとって大きな選択要素です。

治療後のフォロー体制に差はある?

矯正治療は装置を外した後が本当のスタートとも言えます。後戻りを防ぐためのリテーナー指導や、定期的な健診の仕組みは医院によって異なります。

治療後のフォローにも違いがあります。

フォロー体制の違い

  • リテーナーの種類(固定式・取り外し式)
  • 保定期間の長さの考え方
  • 定期健診の頻度や費用負担

➔ 治療後のサポート体制は長期的な安定に直結します。

自分に合った医院はどうやって選べばいい?

医院選びでは「治療方針の説明が分かりやすいか」「複数の選択肢を提示してくれるか」が重要です。実際にカウンセリングを受け、比較検討することをおすすめします。

複数医院で相談して比較しましょう。

医院選びのチェックポイント

治療方針を患者さんの立場で説明してくれるか

複数の治療方法を提示してくれるか

見積りや費用が明確か

治療後のサポート体制が整っているか

 信頼できる医院を選ぶことが、満足度の高い矯正治療につながります。

まとめ

違いを理解して納得できる医院を選ぼう

矯正歯科の治療方針は「抜歯の判断」「装置の選択」「期間や費用」「アフターフォロー」など、さまざまな場面で差が出ます。患者さん自身が複数の医院で説明を受け、比較することで、自分に合った治療方針を選ぶことができます。

➔ 違いを理解して納得できる選択をすることが、矯正治療成功の第一歩です。

この記事の監修者
医療法人真摯会 クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院
院長 永井 伸人

徳島大学 歯学部卒業卒業。日本口腔インプラント学会。日本顎咬合学会。

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クローバー歯科・矯正歯科あべの天王寺院

大阪矯正歯科グループ大阪インプラント総合クリニック