
クローバー歯科・矯正歯科 あべの天王寺院 歯科医師 永井 伸人
歯磨きは毎食後にするのが理想的ですが、外出先で歯磨きするのはなかなか難しいものです。食後の口の中はどのような状態になっているのか、歯磨きはいつすればいいのか、何回すればいいのか、出来ない時はどうするのかについてご説明します。
食後のお口の中は酸性になる
私たちの口の中は通常は中性ですが、食事の後は一時的に酸性になります。酸性とアルカリ性のどちらに傾いているかを数値で表したのがpHと呼ばれる数値です。
私たちの口の中が食事と時間によってどのように変化するのかを表したものは「ステファンカーブ」と呼ばれます。
普段は口の中のpHは7程度の中性に保たれていますが、食後は酸性に傾いて、グラフでは下に移動しています。
pH5.5になるとエナメル質が溶け出す脱灰が始まる
お口の中のpHがpHが5.5になり、酸性の傾向が強まると、歯の表面のエナメル質が溶け出す脱灰が始まります。
食事の間隔だけでなく、間食もだらだら食べずに時間をきちんと決めて食べることで、食事と食事の間隔をしっかり開けるようにすると、唾液が口の中を酸性から中性に戻してエナメル質を修復する再石灰化を行ってくれます。
間食やジュースを飲むなど頻繁にお口に何かを入れていると、歯は常に酸にさらされてエナメル質が溶けやすい状態になります。そのような状態では再石灰化が間に合わず、虫歯になってしまいます。
再石灰化を起こさせて虫歯を防ぐには?
- 甘いものやスナック菓子などをだらだら食べず時間を決めて食べる
- 炭酸飲料やジュースなど酸性の強いものはできるだけ控える
- 食後すぐにフッ化物配合の歯磨き剤で歯を磨く
- 食後すぐに歯磨きが出来ないなら、お水ですすぐか、ノンシュガーのガムを噛む
- 日頃からしっかりと唾液を出すようにする
歯磨きやガムなどのタイミング
歯磨きの後、ガムを噛むと虫歯予防に効果的です。虫歯予防に最適な歯磨きやガムを噛むタイミングは以下の通りです。
虫歯からしっかりと歯を守る:食後すぐにフッ化物配合の歯磨き剤で歯磨きし、ノンシュガーのガムを20分間噛む
虫歯から歯を守る:食後すぐにフッ化物配合の歯磨き剤で歯磨きし、ノンシュガーのガムを10分間噛む
虫歯になりにくい:食後すぐにフッ化物配合の歯磨き剤で歯磨きするか、またはノンシュガーのガムを噛む
やや虫歯になりやすい:食後30分後にフッ化物配合の歯磨き剤で歯磨きするか、もしくはお茶などで口をすすぐ
虫歯になりやすい:歯磨きをしない
忙しい方はできることだけでもOKですが、全く何もしないと虫歯になりやすいので食後の歯みがきは大切です。
まとめ

食後、私たちの口の中は酸性になり、歯のエナメル質が溶けやすい状態になります。唾液の再石灰化により、歯から溶け出したカルシウムイオンやリン酸イオンは、歯に再度取り込まれてエナメル質の修復が行われますが、頻繁に間食をしていると、再石灰化が追い付かず、歯はどんどん溶け続けます。
それを防ぐためには、食事や間食の時間を決めて、食事と食事の間隔をあけて、しっかりと再石灰化するための時間をとることが必要です。歯磨きやガムを噛むなどで虫歯予防を効果的に行っていきましょう。