
食べ物を歯できちんと噛むことの効果、および必要性についてご紹介いたします。
現代人は噛む回数が減少?
一般的に、現代人は時間に追われているイメージがあります。昭和の初期は一食当たりの咀嚼回数が1400回以上に比べ、現代ではおよそ600回ほどに減少しています。
食べる際の咀嚼回数が多ければ、咀嚼の時間も長くなるのが通常です。昭和初期には一食当たり20分以上じっくり時間をかけるのに対して、現代では半分の約10分ほどと言われ、忙しい現代を表しています。
歯で噛むことができなければどうなる?
噛めない状態になれば、日常の食事における楽しみを失います。食生活の豊かさだけではなく、咬む刺激が顎の骨や脳に伝達しないため、多くの歯が抜けやすい状態に陥ります。
残念ながら歯が抜けると、歯科医院で義歯(インプラント・入れ歯・ブリッジ)の装着をしなければなりません。洗浄を怠った義歯の装着をすると、細菌感染が起き、むし歯や歯周病のリスクがあります。そうなれば、ご自身の残存歯にダメージがあります。歯磨きが十分に行えないケースですと、歯肉の炎症や、抜歯という問題を引き起こす可能性があります。
噛むとどんな効果がある?
では、きちんと噛むと身体にどのような効果や働きがあるか、順を追ってご説明します。
●胃腸の負担を減らす
前歯で食べ物を小さくちぎり、奥歯ですりつぶす噛み方を毎日行っていれば、食べ物は細かくなります。細かくなった食べ物は唾液と混ざり、消化がしやすくなるため、胃や腸の負担が減ります。
●脳を刺激する
歯を支えている骨(歯槽骨)と歯根の間にある歯根膜の神経は、脳の中枢神経につながります。噛むことが脳の刺激になり、脳内の血流が増え、前頭前野の機能が活発化します。
●食べ過ぎを防ぐ
時間をかけてしっかりと噛むと、脳内の満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防げます。理想としては一口入れるたびに、回数としては30回咬む習慣をつけることが理想です。食べ過ぎを防げれば、体形維持ができ、肥満防止にもなります。
●お口周りの筋肉を鍛える
お口の周りには様々な筋肉があります。骨格につながる咬筋を使用すると鍛えられ、口輪筋、舌筋、表情筋など顔の表情にも影響を及ぼします。永久歯に生え変わる前の子供は、顎の成長にも直結します。不正咬合(受け口)は、上あごの発達ができず起こることも多いので、咀嚼を行いましょう。
●食材本来の味を楽しめる
しっかり噛むと食べ物の味や噛み心地や歯ごたえが変化し、味覚だけではなく、酵素や栄養素がきちんと摂取することができます。
まとめ

食事の際になるべくゆっくり時間をかけて噛むと、唾液が多く分泌され、お口の中のリスクが減ります。しっかり噛んで正しい歯みがきを続けていると、結果的に歯の健康にもなります。噛み合わせによりうまく噛めないなどのお悩みがある場合は、クリニックへ通院し、歯科医師やスタッフに相談をしましょう。